imase、ワンルームからより広いステージへ 等身大の姿でリスナーを沸かせた初配信ライブ『POP ROOM』レポ

 実家の自室から一人、バズる音楽を生み出し続けている新世代アーティスト。それがimaseだ。彼は2020年に独学で音楽制作を始め、TikTokで絶大な反響を獲得。2021年12月にメジャーデビューを果たした。そして2022年12月19日に初ライブとなる『POP ROOM』をオンラインで開催。本記事では、その模様をレポートする。

 開演定刻に現れたスマホサイズの縦長画面に映ったのは、ラックのついたデスクの前に座って歌うimase。服装も、ストライプのシャツにカーディガンというラフなスタイル。つまり我々がTikTokで見ている“いつものimase”だ。初めてのライブは、代表曲の一つである「逃避行」からスタート。少ない音数で構成されたシンプルなサウンドで奏でられる切ないメロディが心を揺さぶる。

 初ライブも実家の自室から行うのが彼のスタイルなのかと少々驚いたが、2曲目の「アナログライフ」を歌い始めたところで、突如舞台の幕が開くように画面が横に拡大していき、広いステージとバンドメンバーが姿を現す。まるで悪戯が成功したような、してやったり顔のimaseは、マイクを持って立ち上がり、「始まるぜー!」と画面の向こうの観客たちを煽る。コメント欄には「騙された!」「鳥肌やばい」と、この演出に驚きと感動を覚えたファンからの声が次々と流れた。続く「あべこべ」では、両手を広げてくるくると回ったり、リズムにノりながらステップを踏んだり、エレキギターの音に合わせて頭を振ったりと、自由気ままに動き回る。ライブならではの新鮮な姿をいくつも見せながら、疾走感あふれる極上のPOPソングを届けた。

 MCでは「改めまして、imaseです。よろしくお願いします!」と礼儀正しい挨拶から入り、「最初、『あれこいつ実家から撮ってんの?』とかって思いませんでした? 僕、そんな強メンタル持ってないです(笑)」と冗談交じりに話す。初ライブらしい初々しい雰囲気でバンドメンバーを紹介したあとは、「まだまだコロナ禍もあり、忙しない日々が続いていますが、そんな方たちにこの曲を届けたいと思います」とカメラ越しに観客たちへ語り掛けた。あたたかい光の中で歌い始めたのは、「でもね、たまには」。曲が始まるとMCでの初々しさは一瞬で消え、美しく響くハイトーンやクールなラップを決めていく。〈気づかずに重りをつけてる 慣れてく痛みに〉〈変わりゆくこの世の中で ビルに隠れた空 見上げてよう 歩き出すのはそれからで〉という等身大のメッセージは、優しくリスナーの心を包み込んだ。

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