LUNA SEA、黒服限定GIGでステージから5人が放った狂気 12年ぶり“LUNACY”名義公演でレア曲連発

 「もう死んだ振りさせない」。RYUICHIの囁きで、瞬時に火がついた第二部。未発表曲「JUNK」の披露に、客席は歓喜に包まれる。さらにこの曲では、INORAN(Gt)がギターソロを弾くという本公演ならではのレアな光景も。興奮状態のアリーナに間髪入れず叩きこまれたのは、キラーチューン「Déjàvu」。爆発音とともに火花が飛び散り、ライブはグングンと加速していく。同楽曲は近年のライブでもセットリストに組み込まれていたが、メンバーの表情やプレイスタイル、そしてRYUICHIの歌い方からは、これまでとは全く違う攻撃性が感じられた。

 「今夜ははみ出してしまいましょう。お前ら行こうか!」というRYUICHIの煽りから、「SEXUAL PERVERSION」へ。この楽曲は「TIME IS DEAD」の原曲であり1stデモテープにしか収録されていないため、長きにわたるファンもなかなか生では聴いたことがないという超レア曲。「BLUE TRANSPARENCY」では再び縦ノリで盛り上がり、続く「LASTLY」ではSUGIZOの心地よいギターの音色が浮遊する空間に身を委ねる。「CHESS」では火柱が豪快に上がり、熱い会場にさらに熱気をもたらしていた。そして本編ラストを飾ったのは、またもや1stデモテープ収録の「NIGHTMARE」。曲のラストではJのベースが何度もリフレインする中、会場中が暗闇に包み込まれていく。まるで彼らが描く漆黒の世界に飲み込まれるようにして、本編は終わりを迎えた。

 アンコールでは、いつも通りスマホのライトで光の海を作り上げる観客たち。そこに再び姿を現した5人は、穏やかな笑顔をこの日初めて見せていた。狂気から神聖な世界へとライブを塗り替えたのは、壮大で幻想的なバラード「MOON」。巨大なミラーボールと観客たちが作り出す光の景色は、まるで楽曲の世界をそのまま体現したかのような美しさだった。

 メンバー一人ひとりによるMCでは、真矢が「俺たちどれだけ年をとっても、こういう風に真剣に遊べるんだなって本当に感動してます。ここから見た景色、世界で一番輝いてる漆黒の世界だと思うぜ!」と笑顔で叫び、Jは「俺たち自身のオリジナリティを追い求めて始めた黒服限定、またやれて最高です。その旅はまだ続いてるんだなって改めて感じました」と熱いメッセージをおくった。INORANはここでも活動初期のスタイルを貫き、自分では話さずにRYUICHIに耳打ち。「INORANからみんなに……愛してるって」とRYUICHIが代わりに伝えると、フロアからは大きな拍手がわきおこった。

 鮮やかな赤髪と黒いエナメルの衣装に身を包んだSUGIZOは、「18、19歳の田舎のクソガキだった僕らが始めたこの黒服限定が、今となってはすごく愛おしいと思っています。みんなのおかげです。最高に愛してるぜ」とストレートに感謝を伝えた。そしてRYUICHIは「黒服限定を始めたのはとても過去なのかもしれないけど、実は未来だったんだなと。未来、現在、過去を同一の場所に置くことができるのが、俺たちのライブなんだなと実感しました」と、このライブがメンバーにとっても意義のあることだったと丁寧に伝えた。

 そしてラストは、過去から今までのライブをずっと繋げてきた定番ソング「WISH」、そして「PRECIOUS...」で最高潮の盛り上がりを見せたまま、漆黒のライブは幕を閉じた。

 この日は、ステージから5人が放つ狂気に恐怖すら感じる瞬間もあったが、その怖さこそが、彼らの強さ、そして絶対的なカッコよさへと繋がっていき、今もなおカリスマ的存在としてシーンに君臨する所以なのかもしれない。そう強く感じるライブであった。

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