WurtS、肉体性と物語性を取り込んだ才気溢れるパフォーマンス 新たな展開も予感させた初ワンマンツアー

 今年リリースされ、WurtSが大海に乗り出したことを示す言わば開幕宣言的な意味合いを持つ「SPACESHIP」から、後半がスタート。スペイシーなダンストラックに乗りながら、右手を突き上げ〈大胆に開幕だ/乗り込めよSPACESHIP〉と歌うWurtS。この浮遊感あふれるビートにただ体を預けて楽しめばいいんだという快楽性があった。最新曲「MOONRAKER」は、WurtSのしっとり感のある伸びやかな歌声を真ん中に据えた、EDMを基調としたダンスミュージックでもオルタナティブロックでもないポップソング。随所にWurtSの多大なる伸びしろを感じさせた。

 そして「ブルーベリーハニー」「分かってないよ」「リトルダンサー」「SIREN」とアッパーな曲を立て続けに演奏。オーディエンスの胸の高まりをキャッチするかのように、ウサギも一層ノリノリでアジテート。甘酸っぱく瑞々しい焦燥感が爆発すると同時に、ワンダーランド感もどんどん高まる。WurtSはかつて「2022年の野望は信頼感を高めること」と口にしていた。その言葉通り、様々な仕掛けを孕んだ楽曲ごと、映像作品ごとに、「WurtSなら間違いなく楽しませてくれる」という確信が高まっていった2022年だったわけだが、世界観が強固になりつつあるライブでも、それは同様だ。

 アンコールでは、TikTokでお題を集めていた未発表曲「COOLじゃない?」を、「急なんでデモみたいな感じなんですけど」と前置きしてから披露。ダウナー感とやさぐれ感がまさにクールな曲だった。「どうでしたか?」と恐々と問いかけ、オーディエンスからの拍手に安堵したようなWurtSは、「卵、割れるのかな(笑)? 何でこんなことをしてるかというと、ミュージックビデオがシリーズ化していて、もしかしたらこの卵のつながりが出てくるかもしれないので、次作を楽しみにしていてください。一緒に卵割っちゃいましょう!」といたずらっ子のような雰囲気を滲ませながら話した。来年3月からはWurtS曰く、「ストイックなライブハウスツアー」も始まる。まだ発表されていないリリースも多くあるという。音楽を軸にしたWurtSの革新的な研究の旅はまだまだ続く。

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