落日飛車、拍謝少年……『2022 TCCF 創意內容大會』から見えた台湾インディーズの未来 現地の模様とともにレポート

『2022 TCCF』から見えた台湾インディーズの未来

 みなさんは台湾のインディーズシーンについて、どれだけ知ってますか?

 台湾といえばタピオカミルクティーや台湾カステラなどのグルメやレトロなデザインの雑貨など、すでに日本でも定番の人気を誇るアイコンは数知れずですが、音楽についてはインディーズどころかポピュラーミュージックそのものに「???」という人がほとんどじゃないでしょうか。

 かく言う私も、ほんの2年ほど前までは「えーっと、透明雑誌……」というレベルの知識しかなく、ここで大上段に構えて語るほどの資格もないのですが、あえて最初に申し上げておきたいのが「知っておいて損はない」ということです。

 私はたまたま「Bitfan」というファンクラブのプラットフォームサービスの施策で何組かの台湾のアーティストたちと関わることができて、そこで彼らの音楽と人柄を目の当たりにしたことで本当にたった1〜2年のリスニング体験にもかかわらず、すっかり台湾インディーズの魅力にハマってしまいました。

 今回、台北で開催された『2022 TCCF クリエイティブコンテンツフェスティバル』にはそんな台湾インディーズの注目アーティストが多数出演したのですが、このライブレポートを通して、みなさんに台湾インディーズの魅力を少しでもお伝えできればと思います。このイベント自体は台湾の政府のもとに2019年に創設されたTAICCA(台湾クリエイティブ・コンテンツ・エイジェンシー)の主催による2020年から始まった音楽やアート、映画などのカルチャー見本市で、11月3日から13日の10日間に渡ってさまざまなプログラムが一堂に会しました。私はその中で11月11日、12日、13日の3日間に開催されたライブショーケース『クロスオーバー・パフォーマンス』を観て来ました。

 『クロスオーバー・パフォーマンス』とは、ただライブ演奏があるだけでなく、最新の照明やデジタル技術とのコラボレーションによる演出で、これからのライブの新しい形を提示するプログラムです。


 まず最初にお伝えするのは、日本でも人気の高い落日飛車(Sunset Rollercoaster)。彼らが1日目の「無界舞台」ステージのトリを務めます。日本だとシティポップの文脈で語られることが多い彼らですが、個人的にはそういったヴェイパーウェイヴ経由の今どきを狙った感じというより、今となっては「いなたさ」に変わり果てた70年代後半のAOR(ボズ・スキャッグスとかボビー・コールドウェルとか、その辺り)が彼らの真骨頂なんじゃないかと常々感じていたので、きっと台湾本国でのリスナーも、そのほとんどが40代以上に違いないと勝手に踏んでいました。彼らの代表曲と言われている「My Jinji」も曲の途中から入ってくるエレピのアルペジオが後期The Momentsかフランシス・レイかというぐらいのノスタルジーを呼び起こす“おっさんキラーチューン”なんですよね。

Sunset Rollercoaster – My Jinji (Official Video) 2020

 ところが、いざライブが始まってみると、自分の周りを見渡してもオーディエンスはほとんどが20代とおぼしき若者ばかり。そして例の「My Jinji」が始まると皆が思い思いに体を揺らし始めたじゃないですか。若干キツネにつままれたような感覚に陥りつつも「おっさんの慰みモノではなく、カルチャーとしてちゃんと若者の手中にあるじゃないか!」とかなり屈折した形の感動で1人興奮していました。

 
『TCCF 創意內容大會』ライブ写真
『TCCF 創意內容大會』ライブ写真

 以前、YMOの1980年のワールドツアーにスタッフとして同行した方に当時の集合写真を見せてもらったことがありますが、そこに写っている30人ぐらいのメンバーやスタッフが全員40歳以下だったという事実に驚愕したのを思い出しました。そう、若者によって育まれるカルチャーこそ未来に繋がるんですよね。落日飛車のライブに話を戻すと、途中「Summum Bonum」や「Little Balcony」といったアップテンポのナンバーを織り混ぜつつも、基本的にはミドルやバラードを主体に構成されたセットリストには、付け焼き刃ではないシーンとしての成熟を感じざるを得ませんでした。AORというジャンルは確かに過去のものですが、今の若者たちがその魅力を理解した上で再構築していく姿に明るい未来が見えた、そんなステージでした。

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