HYBE、2022年度の活動総括&来年度への展望明かす 次元やジャンルの境界を超えた“コンテンツの拡張”がテーマに
11月10日、HYBEによる2022年度のブリーフィング・カンファレンス「2022 HYBE BRIEFING WITH THE COMMUNITY:COEVOLUTION」がYouTubeにて配信された。
全体の内容としては、2022年度のHYBEの活動の総括と来年度に向けての展望をまとめたもので、先日行われた株主総会よりも「HYBEは何を目指しているのか」「HYBEが今やっていること」などがスタッフや所属アーティストを通して語られるという、一般広報向けの内容となっていた。
冒頭で創業者 パン・シヒョクが述べていたのはHYBEは共同体であること、共通のDNAと言えるブランドルールは「今まで見せてきた以上のものを見せる」「そしてそれは最上のものであること」だった。
最初に紹介されたのは、ストーリーテリングチームの仕事だ。TOMORROW X TOGETHER、ENHYPEN、LE SSERAFIMが展開するウェブトゥーンシリーズのストーリーやコンセプトを担当している部署で、ストーリーの制作だけではなく、それをコンセプトに落とし込み実際の活動に反映させている。例えばENHYPENのコンサート会場でのウェブトゥーンシリーズ『黒の月』のブース展開などで、いわば三次元と二次元のハブとなる役割を果たしている。ENHYPENのコンサートにはウェブトゥーンに登場する学園制服コスプレの観客もいたそう。HYBEが繰り返し言ってきた「コンテンツの拡張」という根幹の部分に直接関わり、HYBEならではのカラーと世界観を担う部署と言っていいだろう。今後はLE SSERAFIMの世界観を盛り込んだ『Crimson Heart』の公開が予定されている他、メタバースの世界に作中に登場する世界観を構築し、ファンがそこを訪問する可能性についても語られた。
続くインタラクティブ・ゲーム開発チームも「芸能会社がなぜゲームを?」の問いに対してやはり「HYBEの目指す境界のない拡張性」について説明していた。『BTS Island:インザソム』に関してはBTSメンバーからの希望やフィードバックを反映し、実際のBTSの思い出のアイテムや場所などを盛り込んでおり、BTSを知っているファンがやることに意味があるという点がポイントなのだろう。
Weverse Shopに関しては、今年から始まった新たな試みである現場受領(アプリでグッズをあらかじめ予約してコンサート会場で受け取ることができる機能)について説明された。他事務所でもすでに同様の事前予約システムは行われており、筆者が実際に使ってみた感想としては、会場の近くに来ないと予約できないというシステムに不便を感じた。特に平日開催の多い日本では、コンサート当日に時間的な余裕を持ってグッズ購入の列に並べない人にとって最も便利なはずが、そういう人は最初から除外されているシステムとなっているが、「利用者のフィードバックと共に成長する」と繰り返し語られていたため、今後の改善に期待したい。
また、今回初めて具体的に紹介された「MOMENTICA」はHYBEが韓国では他事務所に先んじて開始するNFTトレーディングカードシステムだ。トレカにはビジュアルだけでなくメンバー撮り下ろしの動画や音声なども含まれるようで、自分だけのコレクションをオンラインで公開したりマーケットを通して交換や売買も可能になる予定とのこと。LE SSERAFIMのデビュー前プロモーションとして自分で絵柄・モーション・音声などを組み合わせて作れるデジタルトレーディングカードが枚数限定で発行されていたのは、「MOMENTICA」の前哨戦だったのかもしれない。
もう一つ新しい試みと感じたのが、2022年4月から始まった「THE CITY」プロジェクトだ。コンサートを開催する都市にさまざまなプロモーションを打って都市全体をひとつのコンテンツに染め上げて盛り上げるプロジェクトで、BTSのラスベガス公演を皮切りに、日本でもSEVENTEENのドームツアー開催を記念して大阪、東京、名古屋で行われる。これもまた、コンサート会場の外を飛び出した「ファンの体験の拡張」のひとつと言えるだろう。