緑黄色社会「ミチヲユケ」、ドラマ『ファーストペンギン!』でアグレッシブに響く主題歌に 新シングルから紐解くポテンシャル

 緑黄色社会にとって、2022年はバンド結成10周年を迎えた節目の年。メンバー4人はそのメモリアルイヤーを怒涛の勢いで駆け抜けている。年明けにリリースされたフルアルバム『Actor』は、珠玉のポップアンセムを束ねたバンド史を代表する最高傑作だったし、春フェス&夏フェスシーズンを通して、4人は数え切れないほど多くの新たなリスナーとの出会いを重ねてきた。そして9月には、バンドにとって初の日本武道館公演(2days)を見事に成功させた。その後も4人は立ち止まることなく、むしろここから本当の勝負に挑むような気概で激動の2022年を走り続けている。そして11月9日には、6枚目のシングル『ミチヲユケ』がリリースされた。今回は、今作に収録される2つの楽曲について紐解いていく。

 表題曲「ミチヲユケ」は、小林壱誓(Gt)と穴見真吾(Ba)のコンビによって作曲されたアグレッシブなナンバー。ロック、ジャズなどの複数のジャンルを軽やかに往来していくスリリングな展開、次々と色合いを変えていく鮮やかなバンドアンサンブルは圧巻で、各メンバーの高い演奏技術に裏付けられた楽曲といえる。また、そのサウンドの真ん中を突き抜けるように響く長屋晴子(Vo/Gt)の伸びやかな歌声は、緑黄色社会史上最上級のパワフルさを放っている。武道館という大舞台を経て、さらにその先へと力強く踏み出そうとする熱い気概を感じさせる歌声にグッと引き込まれる。

 同曲は、10月5日にスタートしたドラマ『ファーストペンギン!』(日本テレビ系)の主題歌として書き下ろされたナンバーである。このドラマは、人生崖っぷちの若きシングルマザー・岩崎和佳(奈緒)が、それまで縁もゆかりもなかった漁業の世界に飛び込み、ガンコな漁師たちと共に業界に大改革を巻き起こしていく物語だ。同曲の作詞を務めた長屋は、このドラマについて、「私は新しいことを億劫に感じてしまうことが多いのですが、台本が進むごとに変わっていく展開、広がる世界に、気付けば期待でゾクゾクしていました。新たな一歩を踏み出す勇気を与えてくれる。奮い立たせてくれる。そんなドラマに力添えできることを、光栄に思います。」とコメントしている(※1)。そして彼女は、この物語に〈道無き道を行け〉〈この際未知を行け〉という力強いメッセージを寄せた。楽曲タイトルがカタカナ表記となっているのは、〈道〉と〈未知〉のダブルミーニングを表すためだろう。

緑黄色社会『ミチヲユケ』Official Video - 日本テレビ系 水曜ドラマ「ファーストペンギン!」主題歌

 このドラマは現在5話まで放送されており、主人公の和佳は、既得権益や昔ながらの慣習、しきたりに真っ向からぶつかりながら、少しずつ業界の改革を進めている。その歩みは決して平坦なものではないが、各話のエンドロールにおいてアグレッシブに響く「ミチヲユケ」は、和佳の背中を力強く押すような役割を果たしている。このドラマの物語から勇気を授けてもらったからこそ、次は自分がそれを歌にして和佳の物語を彩りたい。長屋の今作にかける深い想いが伝わってくる主題歌だ。

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