Snow Manの“素”の魅力を引き出した滝沢秀明の手腕 先行して育まれた現代のアイドルに求められる適性

 11月1日、滝沢秀明がジャニーズアイランドの代表取締役及びジャニーズ事務所の副社長を退任したというニュースが日本のエンターテインメント業界に大きな衝撃を与えた。

 ジャニーズタレントとしての滝沢は、90年代中盤から2000年代初頭にかけてムーブメントを巻き起こした「ジャニーズJr.黄金期」と呼ばれる一時代を牽引する人気を誇り、今井翼とのユニット・タッキー&翼として数々のヒット曲を残した。2018年の芸能活動引退後、2019年のジャニー喜多川氏の死去に伴い同職に就き、ジャニーズJr.の育成に邁進。2020年のSixTONESとSnow Man、今年のTravis Japanと3組のグループのデビューに貢献したと言われている。

 なかでも滝沢が命名したSnow Manのメンバーをデビューに導いた功績は計り知れない。今や実力・人気ともにトップクラスのアイドルへと成長したSnow Manだが、ジャニーズJr.時代は長らくデビューできないと言われ続けていたという。当時から活動しているメンバーは滝沢ソロ、タッキー&翼、『滝沢歌舞伎』と滝沢のステージでも多くのバックを務め、技術力や舞台に臨む姿勢を叩き込まれたものの、自らをアピールすることがあまり得意ではなかった。そんな控えめなメンバーたちの魅力を引き出してきたのが滝沢だったように思う。

 滝沢は2010年、自身のプロデュースでネット上でジャニーズJr.の出演動画を楽しめる有料会員制のサービス「滝CHANnel」を開設。事務所全体でネットにおける規制が厳しかった当時において画期的な取り組みをスタートさせた立役者でもあった(※1)。「滝CHANnel」には、デビュー前のKis-My-Ft2やA.B.C-Zにまざり、Snow Manのオリジナルメンバーである岩本照・深澤辰哉・渡辺翔太・阿部亮平・宮舘涼太・佐久間大介の成長の記録が刻まれていた。真面目に活動に向き合っているからこそ生じてしまうメンバー間のわだかまりを話し合いで解決する姿など、オフステージの彼らの様子もファンに披露。また滝沢が彼らにドッキリを仕掛けたり、無茶振りをしたり……あらゆる角度からSnow Manのメンバーの人柄や愛らしさを引き出していた。

 Snow Manは、YouTubeコンテンツやドキュメンタリーを通してジャニーズグループの裏側を知る機会が多くある現在の流れを先取りして、そういった素の姿(またそれに近しい姿)を見せること、アドリブに対応することへの適性や耐性が自然と磨かれてきた。だからこそ、その後に立ち上げられたジャニーズJr.の動画コンテンツ「ISLAND TV」やYouTubeチャンネルにおいてもグループの魅力を余すことなく伝えることができたのではないだろうか。Snow Manのラジオ番組のタイトルにも代々「素」というワードが用いられ、自然体のトーク、素の彼らの雰囲気がファンを魅了してきた。そこに2018年、滝沢により見いだされたラウール、向井康二、目黒蓮の加入で最後のピースが揃い、今の彼らがある。

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