ASIAN KUNG-FU GENERATION、ゲスト迎えた『プラネットフォークス』の美しい世界 深い余韻残した横アリ公演

 本編のラストに披露されたのは、「しんどくなったら、いつでも俺たちのことを呼んでくれ、って曲です」と紹介された「解放区」。後半、少しずつ熱を帯びていくポエトリーリーディングを受けて突入する合唱パートがもたらすカタルシスは、とてつもなく深いものだった。そしてアンコールでは、この日初めてのメンバー4人のみの編成で「君という花」「リライト」が届けられる。25年以上の歴史を誇る鉄壁のアンサンブル、剥き出しの感情をストレートに伝えていく力強い歌と演奏に改めて痺れた。

 ここで、Rachel、OMSBをステージに迎え入れ、新作に収録された「星の夜、ひかりの街」が披露される。1番におけるRachelのしなやかでありながら強烈な余韻を残すエッジの効いたフロウ、2番におけるOMSBのバンドサウンドを跳ね除けるようなパワフルなフロウは、アジカンのライブ表現に全く新しい彩りを加えていた。また同時に、そのパフォーマンスは、後藤が同曲に込めた「一人ひとり、それぞれのささやかな光が夜を照らしている」というメッセージに深い説得力を与えていたように思う。同じ時代に居合わせる2人のラッパーとの共演は、まさに『プラネットフォークス』が打ち出した新たな連帯の体現の一つであり、音源で聴くよりも何倍も大きな感動が押し寄せてきた。

 アンコールの最後で、この日集ったゲスト4名をステージに招き入れて、新作のラストに収録された「Be Alright」を歌唱した。全員の歌声が重なって響く〈Be Alright〉という合言葉に、何度も何度も強く心を震わせられた。そして、これこそまさに『プラネットフォークス』の真の完成の瞬間なのだと感じた。この混迷の時代において、〈Be Alright〉と叫ぶことは、ある意味で無責任なことなのかもしれない。それでも、きっと「大丈夫」だと心の底から信じさせてくれるのが、アジカンが長きにわたり届け続けてきたロックの魔法であり、そして『プラネットフォークス』が与えてくれた眩く温かな確信なのだ。その確信があるからこそ、一人ひとり異なる私たちは、時に集まったり時に散らばったりしながら、同じ未来を信じて力強く生きていける。〈We gon be Alright/Be Alright Be Alright〉ーーその合言葉がもたらす深い余韻が、いつまでも心の奥底で響き続けている。美しい大団円だった。

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