鈴木伸之、ソロアーティストデビューで踏み出す一歩 Tani Yuuki提供曲「フタリノリ」がもたらした歌うことへの自信

 2010年に劇団EXILEの一員として俳優デビューし、今年も話題作に立て続けに出演している鈴木伸之。そんな彼が、10月22日にデジタル配信曲「フタリノリ」で歌手デビューし、10月21日には『THE FIRST TAKE』でも同曲を歌唱する姿が公開された。「フタリノリ」はシンガーソングライターのTani Yuukiが書き下ろした、ミディアムテンポのラブソング。11月3日からスタートする主演ドラマ『自転車屋さんの高橋くん』(テレビ東京系)でも、エンディングテーマとして“遼平とパン子の不器用で温かい恋物語”に寄り添っている。10月14日には30歳の誕生日を迎え、ますます輝きを増した鈴木伸之に、デビュー曲の制作秘話やアーティスト活動への想いを語ってもらった。(斉藤碧)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】

「フタリノリ」からアーティストとして歌う勇気をもらった

ーーソロアーティストデビュー、そして30歳の誕生日、おめでとうございます!

鈴木伸之(以下、鈴木):ありがとうございます!

ーー2010年に行われた『VOCAL BATTLE AUDITION 2』に挑戦されてから12年、満を持しての歌手デビューです。とはいえ俳優業の一環としては、これまでも歌唱する機会がありましたよね?

鈴木:そうですね。2018年に劇団EXILE総出演の映画『jam』を撮らせていただいて、昨年には続編となるドラマ『JAM -the drama-』(ABEMA)が配信されたんですが、その作中で挿入歌の「君のすべてに僕はなる」をギター弾き語りで披露したのが初でした。あとは今年の頭まで上演していた舞台『JAM -ザ・リサイタル-』でも、何曲かカバー曲を歌わせていただいて。その流れで「ドラマ『自転車屋さんの高橋くん』のエンディングを歌いませんか?」というお話をいただきましたね。唐突に決まったアーティストデビューだったので、お話を伺った時は驚きもありましたけど、自分の主演作でのデビューという素晴らしいタイミングですし、新しいことに挑戦する良い機会をいただけて本当に感謝しています。

鈴木伸之、ソロ楽曲「君のすべてに僕はなる」弾き語りで熱唱 劇団EXILE総出演ドラマ「JAM -the drama-」予告

ーードラマに映画に引っ張りだこの鈴木さんですが、その一方で、いつかは本格的に歌の仕事もやっていきたいという想いもあったのでしょうか。

鈴木:お芝居はもちろん好きですが、音楽もすごく好きなので、いずれチャレンジしたいなとは思っていました。ただ、なかなかそういう機会もなかったですし、「果たして自分に音楽ができるのかな?」っていう気持ちもあって、今までは俳優業をメインに活動してきました。それが今回、僕が主演を務める『自転車屋さんの高橋くん』の世界観に寄り添って、Tani Yuukiさんがすごく素敵な楽曲を書いてくださったことで、自信をもらえたというか。この曲だったら気持ちを込めて歌えるだろうなと、アーティストとして歌う勇気をもらいました。

ーーそんな「フタリノリ」のデモを受け取った時の第一印象は?

鈴木:ドラマの撮影中にロケ先のホテルでデモを聴かせてもらったんですけど、実際にドラマの脚本や原作漫画を読んでから曲を作ってくださったそうで、まるで漫画の世界に入り込んだような歌詞だな、というのが第一印象でした。すごく丁寧に作ってくださったことが伝わってきて、嬉しくなりましたね。なおかつ、縦のグルーヴと細かく韻を踏んだ歌詞に、Taniさんの楽曲ならではの魅力も感じて。Taniさん自ら仮歌を入れてくださった「フタリノリ」を聴きながら、きっとドラマをより鮮やかに彩ってくれる楽曲になるだろうなと確信しました。

ーーTaniさんが歌う「フタリノリ」はすでに1つの完成形とも言えると思いますが、そこから“自分らしい「フタリノリ」”を作り上げるのは難しかったですか。

鈴木:はい、難しかったですね。楽曲自体も今まで歌ったことのないような、Taniさん節と言える曲調でしたし、Taniさんが歌ってくださったデモや最近出された楽曲をたくさん聴き込んでいたので、なおさら「自分はどう歌おうかな?」と考えました。でも、エンジニアさんといろいろな表現を試しながら録っていった結果、自分らしい「フタリノリ」になったんじゃないかなと思います。レコーディングで特に苦戦したところは、後半部分かな。Dメロからは一気に言葉数が増えますし、落ちサビもあり、またすぐ転調してラストサビへと向かうので、歌うのが結構大変でした。

鈴木伸之「フタリノリ」レコーディングの様子に密着!

ーー〈下りがあったり、上りがあったり〉という人生の起伏が明確に表れているのが、Dメロ以降の展開ですよね。

鈴木:そうですね。ドラマも自転車屋さんの話ということで、Taniさんは「フタリノリ」というタイトルをつけてくださったと思うんですが、歌詞の内容は大切な人と歩む人生を描いていて。人生は上手くいったり、上手くいかなかったり、嬉しいことがあったり、悲しいことがあったりするけど、そんなおぼつかない日々を一緒に過ごしていこうよ、という意味での“フタリノリ”なんだなと捉えて歌いました。サビの〈遠回りして、大回りして もう一回出だしへ戻る〉もすごく良い歌詞ですよね。人生はそんなことの連続ですけど、上手くいかない日々さえも包み込んでくれる感じがいいなって。

ーーこの曲の歌詞には、いろんな人の日常に寄り添える素朴さがありますよね。

鈴木:そうそう。自分の半径5mくらいの距離感で歌っているような歌詞で、“人生”を歌いながらも、決して大げさではないんですよね。しかも、それがミディアムテンポのキャッチーなフレーズに乗ってるから、いろんな人に届きやすい楽曲なんじゃないかなと思います。

ーー個人的には、サビが〈愛してるよ〉というストレートな言葉で締め括られているのも印象的でした。鈴木さんの“愛してるよ”は、歌でしか聴けないレアな言葉なのでは? と思って(笑)。

鈴木:たしかに、〈愛してるよ〉はお芝居でもあまり言うことのない、歌詞ならではの表現ですね。といっても、歌う時はそこまで深く考えていなかったんですけど。〈どんな日々、どんな君も愛してるよ〉の“愛してるよ”なので、「歌い手の優しさが伝わる包容力のあるフレーズだな」と思い、すごく大切に歌わせていただきました。

ーー“自転車屋さんの高橋くん”になりきって歌っている部分はあるんですか?

鈴木:歌に関しては“高橋くんとして歌った”という感覚は一切なくて、あくまでも鈴木伸之として歌わせてもらいました。ただ、ドラマの本編では高橋くんとして存在しているので、この曲と役がリンクして聴こえる方もいると思いますし、そこは自由に受け取っていただけたら。ちょうどこの間、『自転車屋さんの高橋くん』のアフレコを行って、ドラマの映像を初めて観させていただいたんですけど、「フタリノリ」が流れてくるエンディングもすごく良いシーンになっているので、映像と共に歌が心に沁みてくれたらいいなって思います。パン子役の内田(理央)さんも、その時に初めて楽曲を聴いたみたいで「めちゃくちゃ良い曲じゃないですか~!」って褒めてくれました(笑)。

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