Survive Said The Prophet、ナチュラルな演出で見せた“新しい姿” 次なる進化を予感させる初のアコースティックツアーレポ

 ライブ中盤を過ぎた頃、「コンセプトがリビングルームなんで、居心地がいい」と話し出すYosh。そう、当日のステージは観葉植物やスタンドライトが設置され、「サバプロの部屋へようこそ!」といった雰囲気作りがなされていた。楽曲や演奏だけではなく、トータルプロデュースで普段とは違う演出に気を配る点も彼ららしい。次の「HI | LO」では軽快なアコギに乗り、Yoshも身振り手振りの激しいアクションで楽しげに歌う。バンドセットとはまた違うアッパーなテンションに、会場は熱を帯びていく。演奏後、「『HI | LO』をスキップするとかヤバイ……」と呟くYosh。どうやら、本来は「Find You」の前に披露する予定だったらしい。初のアコースティックという緊張感もあったのだろう、そのハプニングも込みで、ぶっつけ本番のライブらしいではないか。かと思えば、「Mukanjyo」に入ると、〈殺すか殺されるかの/ちっぽけな世界なのかよ?〉と鋭いメッセージ性を帯びた歌詞が刺さり、こちらの感情を激しく揺さぶってきた。

Show

 「本当は『HI | LO』の前に説明するはずだったけど、今回いくつかアレンジを変えていて。もう1曲、アレンジを変えた曲」と説明すると、「SPINE」へ。ボサノバ調のオシャレなサウンドを響かせ、ステージセットに抜群に馴染んでいたのは言うまでもない。ライブハウスと遜色ないエナジーを放つ「Right and Left」が終わると、最後は「Last Dance Lullaby」をプレイ。するとステージ背面からライトが照らされ、後光が差すような印象的な演出で本編を締め括った。

 メンバー4人が一度ステージを降りると、アンコールを求めるクラップは鳴り止まない。「いつになっても拍手はいいものだね。本当にめちゃくちゃ楽しかった!」とYoshは満面の笑みを浮かべ、「When I」を追加で披露。Yoshはもちろん、メンバーのコーラスも相まって、人間臭いエモーションでフロアを焚きつける。全14曲に及ぶショーは、サバプロを構成するメンバー4人の温度が一つの塊となり、通常とは一味も二味も違う生々しさに溢れていた。ツアー名の『something RAW』の解釈は人それぞれだと思うが、いまだ歓声を上げられない状況下、人肌に触れてくる繊細な表現力の数々が新鮮に映った。このツアーを通して、サバプロは未開拓の土壌を耕し、大きな種を撒くことができたのではないだろうか。それが実を結び、どんな花を咲かせるのか。今後に、より一層期待したくなるツアーファイナルであった。

※1:https://survivesaidtheprophet.com/news/exch/

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