Survive Said The Prophet、ナチュラルな演出で見せた“新しい姿” 次なる進化を予感させる初のアコースティックツアーレポ

 “サバプロ”ことSurvive Said The Prophetが、キャリア初となるアコースティックセットによるツアー『something RAW -acoustic tour-』を全国5都市で開催。札幌、名古屋、仙台と3カ所終えたタイミングで、メンバーの新型コロナウイルス感染により、大阪、東京は延期という運びになった。そして、10月13日にようやく迎えることができたツアーファイナルの東京公演(KANDA SQUARE HALL)。「バンドとしてはアコースティックツアーをしっかり終わらせて、次のツアーに繋げたい」とYoshもHP上でコメントしていたが(※1)、バンドが成長するための通過儀礼的な意味合いもあるのだろう。

 場内に入ると、座席が用意され、終始観客は着席してライブを観覧。Yosh(Vo)、Ivan(Gt)、Tatsuya(Gt)、Show(Dr)のメンバー4人が現れ、2名のギタリストはアコースティックギターを持っている。Yoshに関しては曲によってアコギを持ったり、ハンドマイクで歌ったりと変則的なスタイルでステージに立つ。開口一番、「東京!」と元気に2回呼び掛けた後、「声出せない分、しっかり音楽を楽しんでくれよ!」と語りかけるYosh。

Yosh

 ショー自体は合唱コーラスを用いた「Win / Lose」で幕を開けた。本来ならば客席と一体化できる曲調だが、観客は右手を上げて楽曲に参加。Yoshは冒頭から力強い歌声を聴かせる。その一方で、繊細な息遣いまでリアルに伝わり、誤魔化しがきかないアコースティック編成に早くも興奮するばかりであった。

 続く「Your Head」も、シンプルなアレンジの中で華やかなメロディが際立つ。それからオレンジ色のライトが降り注ぐ中で「I don’t care」を披露。USのシンガーソングライターばりに裏声を交えた美しい歌声で惹きつける。さらにTatsuyaはアコギでソロを弾き、Ivanは力強いコーラスを重ね、楽曲を豊かに色づけていった。

 「The Happy Song」が始まると、Yoshはクラップでフロアを煽り、また両手を広げてアカペラで歌う場面もあったりと、奔放な振る舞いで観客の耳目を奪っていった。そして「最強のBGMでいい」と告げた後に「Again」に移ると、R&B経由の抑揚豊かな歌唱力を存分に発揮。思わず、聴き惚れてしまうほどの素晴らしさだった。前日にアルバム『Hateful Failures』が発売されたことに触れた後、同作収録の「624」をプレイ。歌メロはもちろん、インストパートも味わい深く、楽曲の良さが光り輝く。

 曲間をShowがドラムで繋ぐと、ここでアヴリル・ラヴィーン「Complicated」のカバーを披露。ピンク、グリーン、オレンジと華やかなライトも楽曲にマッチしており、原曲に沿った素直なカバーで聴かせる。しかし、だからこそ、Yoshのシンガーとしての類稀な個性が浮き彫りになっていた。

 その流れからTVアニメ『東京24区』(TOKYO MXほか)挿入歌で、未発表の新曲「Find You」を投下。スローテンポの曲調だが、パーカッションを入れたアレンジも実にいい。

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