Da-iCE、“花火”を打ち上げ続ける快進撃 「CITRUS」「スターマイン」に続く「Answers」でのチャレンジ

 この曲がバズを生み出したのにはいくつか理由がある。ひとつは短尺動画でも使用しやすいサビの長さである点。現在、TikTokでは15秒・60秒・3分の動画が投稿できるようになっているが、一番短い15秒の動画でも冒頭のサビは十分に収まる。さらにその中に耳に残るリリックがたくさん散りばめられているため、思わずスワイプする手を止めてしまう。サビ以外のメロディやラップパートも簡単すぎず難しすぎず、つい口ずさみたくなるキャッチーさがある。

 そして、もうひとつがインフルエンサーとコラボしたマーケティング手法だ。3人組クリエイターのローカルカンピオーネとタッグを組み、音源を事前リークすることでリリース前の注目度をアップ。サビに登場する1〜6の数字のハンドサインを使用した振り付けの真似しやすさも相まって、“徳川家康”こと加藤乃愛、あむぎり(コムドット)、MINAMIなどのトップクリエイターたちの手により次々と拡散されていった。そこから本家のMVに立ち返り、Da-iCEの圧倒的なパフォーマンス力に心奪われる人が続出するという状況が生み出されているのだ。

 戦略的思考で見事二発目の花火を打ち出しながらも、随所に反骨精神をのぞかせるDa-iCE。同時にグループを支える6面(ファンの呼称)との関係性をより強固にする遊び心もタイトルや歌詞のどこかに忍ばせる。彼らはいつも冷静に変えるべきこと、変えてはいけないことを選び取ってきた。タイアップ曲に関しても、その姿勢が大いに生かされているような気がする。「CITRUS」も『極主夫道』の世界観と、Da-iCEが掲げる“嗅覚”というテーマがリンクしたロックバラードとなっていた。今回の新曲である「Answers」も例に漏れず、単なるタイアップ曲には留まらない。

 『キス×kiss×キス~メルティングナイト~』は、「視聴者が見たい!」キスシーンを徹底的に追求した恋愛疑似体験型ショートドラマ。深夜放送ならではともいえるセクシャルなシーンもあるため、“一人でこっそり楽しむ”というコンセプトが打ち出されている。より没入感を得るためにイヤホンで視聴することも想定して楽曲が作られているのか、こっそり耳元で囁かれているような大野と花村の歌声にぐっと心を鷲掴みにされることは間違いない。

 作詞も担当した二人が語るように、この曲の「愛は数学では測れない」がテーマとなっている(※2)。ドラマでも描かれる、単純には割り切れず、何かを求めれば求めるほどこぼれ落ちてしまいそうな不安定な恋愛模様を円周率や難解な数式に喩えた知的な歌詞が印象的だ。しかし、同時に浮かび上がってくるのは、あれこれ考えながらも結局は相手に惹かれてしまう普遍的な感情。その両方を純粋でまっすぐな花村と、色気もありながら優しく包み込むような大野のツインボーカルが掬い上げていく。改めて彼らの豊かな表現力に驚かされるラブバラードだ。

 色とりどりの花火を打ち上げるDa-iCEの挑戦は終わらない。11月10日には『ベストヒット歌謡祭2022』(日本テレビ系)の出演が決定。そしてもうすぐ彼らが出場を待ち望む『NHK紅白歌合戦』の季節がやってくるが、どうかその思いも綺麗な花を咲かせる日がくることを願う。

※1)https://mdpr.jp/news/detail/3326976
※2)https://www.tv-tokyo.co.jp/kiss3kiss3kiss3/daice/

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