lol-エルオーエル-、メンバーの作詞に表れるグループの現在地 8年目を迎えた今表現するものとは

 10月26日、男女5人組ダンス&ヴォーカルグループ、lol-エルオーエル-が約2年半ぶりのアルバム『AMBER』をリリースする。同作はメンバーたちのクリエイティブがたっぷりと詰まった作品に仕上がっており、聴き応えも十分。リリースを前に作品についてはもちろん、結成から8年経った今のlol-エルオーエル-についても話を聞いた。(高橋梓)

メンバーだからこそ知っているメンバーの良さを最大限引き出せる楽曲にしたかった

――まずは『AMBER』の仕上がりについての所感を教えてください。

小見山直人(以下、小見山):本当に久しぶりのアルバムなので、僕たちの思いが詰まった作品になっていると思います。ファンの皆さんに元気や幸せを届けられるんじゃないかな、という仕上がりになりました。

――今作では皆さんのクリエイティブが発揮されていますが、なぜそういった方向性の作品になったのでしょうか?

honoka:今までのアルバムはどちらかというとベストアルバムに近かったんですよね。リリースしてきた曲を集めて収録して、新曲も少し入っているっていう。なので、今回は新曲の数も増やして1からちゃんと作りたいねと話していました。

小見山:僕たちがいる環境も変わったし、僕たち自身も変わったし、心機一転というか。これからやっていきたい方向性に進むためのいいチャンスなのかなと思って挑戦させていただきました。

――では、楽曲についても聞かせてさせてください。まず、リード曲の「Magic of A Laugh」は佐藤さんが作詞を手掛けています。

佐藤友祐

佐藤友祐(以下、佐藤):コロナが蔓延して楽しいことが制限される世の中になってしまいましたけど、少しでも皆さんに笑顔になってもらいたいなという気持ちで書きました。今回2年半ぶりのアルバムなので、再出発のような気持ちで作品をリリースしています。そこで「自分たちの色ってなんだろう」と改めて考えた時に、やっぱりグループ名にもなっている「laugh out loud=笑顔」がテーマだなと思って、曲の中にも入れてみました。といっても、ワードにはこだわっていなくて。今回は、僕の中にある作詞のルールやルーティンを無視して、一番にファンの方のことを考えて書きましたね。「ここは誰が歌ったら喜ぶだろう?」とか、「この2人がどんなことしたら喜ぶかな?」とか。メンバーだからこそ知っているメンバーの良さを最大限引き出せる楽曲にしたかったんですよね。なので、歌割りや振付に関しても結構打ち合わせをしていて。これからも大切にしていきたい楽曲になりました。

――佐藤さんの思いが反映されているのは、具体的にどの部分なのでしょうか?

佐藤:Bメロがこだわりポイントです。〈イケてるタキシードと綺麗なドレスで〉という部分はタキシードを着ているなおてぃー(小見山)とドレスを着ているmocaが歌っているのですが、歌詞の通りのドレスコードがあるような場所の雰囲気にしたくて。MVでもそういった雰囲気の演出をしてもらいました。2番のBメロはhonokaとhibikiが歌っているのですが、2人はプライベートでも遊んでいて、“ズッ友”みたいな感じなのでそれをMVや歌割り、目線などで表現しました。ユニゾンで歌っているのもポイントですね。それと、honokaはクールに見られることも多いのですが、実は一番にぎやかなメンバー。グループのムードメーカー的存在なので、今回はふざけさせました(笑)。歌詞の間で〈2枚取ろう〉とか〈キラリン〉とか言わせているので、面白い仕上がりになっていると思います。

honoka:これ、レコーディングが大変だったんです! 〈キラリン〉もいろんな声でやってみようって何パターンも録って。1人でブースに入って〈キラリン〉っていうワードだけ何十回も言っていると、ふと冷静になっちゃって「自分、寒っ」って思ったりして。しかも、採用されたのはノーマルなやつ(笑)。でも、作品として面白い仕上がりになったのでよかったなと思います。

小見山:honokaの努力のかいもあって、聴いていて楽しそうだなって思える曲になってます。グループ名の由来に則っている曲なので、ファンの皆さんと一緒に大切にしていきたいです。ずっとパフォーマンスしていきたい曲になると思います。

moca:実際、パフォーマンスをしていてもすごく楽しいです。

――アルバムにはMVも収録されますが、見どころも多そうですね。

honoka:見どころだらけです! ストーリー仕立てになっていて、私たちの他に主人公の女の子が登場するんです。見る方はぜひその女の子の目線で魔法にかけられた気持ちで見てほしいですね。いきなり曲が始まるんじゃなくて、ストーリーから始まっていることもあって、映画を観た感覚になるというか。今までのlolのMVにはないような、ファンタジー要素が強い作品になっています。

hibiki:撮影自体も楽しかったです。もともと「Magic of A Laugh」はデモの中から選ぶ時点で満場一致した曲。ライブ映えもするし、今までありそうでなかった曲調で、明るくてちょっとおふざけ要素もある感じがすごく良いよねと話していました。それに友祐が世界観を崩さない、イメージ通りの歌詞を乗せてくれたのでパフォーマンスするのも楽しかったです。終始完成が楽しみと思える撮影でしたし、完成したものを見た時も「早くみんなに見てほしいな」と思いました。

佐藤:番組やイベントでのパフォーマンスとMVでのパフォーマンスの差もほぼないので、どんな場でもこの曲の世界観を楽しんでもらえると思います。強いて言えば、MVだとmocaとなおてぃー、honokaとhibikiのところはそれぞれ主人公の女の子も含めて3人で踊っているんですけど、番組やイベントだと2人になるのでファンの方により一層喜んでもらえるのかなと思います。

消化できない苦しい感情をリアルに書きたかった

honoka

――見比べるのも面白そうです。そして、「FATE」はhonokaさん作詞の楽曲です。

honoka:今までも失恋ソングはあったのですが、最後は気持ちが消化されて終わる曲が多かったんです。失恋ソングの中でも、暗くならずに終わってちょっと美しさが残る曲。でも、今回はあえて苦しいまま終わりたいなって。多分、本当に失恋した状態だと苦しい感情はなかなか消化できないし、ずっとそういう感情が残ったままの人もいると思うんですよ。それをリアルに書きたくて、この詞を書きました。聴いていてしんどいなって思う曲が1曲くらいあってもいいのかなって。

――もともとこういうテーマで書きたいと思っていたのですね。切ないメロディが特徴的なので、そこからインスピレーションを受けたのかなと思っていました。

honoka:あぁ、なるほど。この曲、デモの段階ではそこまで悲しさや苦しさがなくて、もうちょっと印象が強い感じだったんです。それをフレーズや歌い方なんかをガラッと変えて、より切なさが残るような構成にしました。なので、メロディからインスピレーションを受けたというよりも、メロディを詞に寄せた感じかもしれません。

――MVにもその世界観は表れていますか?

小見山:ダンスナンバーなので結構ガッツリ踊っているのですが、「Magic of A Laugh」とは全然違ったきれいめなダンスなんですね。それが楽曲にすごく合っていると思います。それと、メンバー一人ひとりのリップシーンが多いので、表情がよく見えるんじゃないかな。

moca:教会で撮影をしたのですが、すごくきれいな映像になっているので楽しみにしていてほしいです。

moca

――パフォーマンス含め、楽しみです。そして、「Fragment」はmocaさんが作詞をされています。こだわった部分はありますか?

moca:恋愛において言葉と心が矛盾することって多いと思っていて。そういった人の悩みや、映し出された景色を歌詞にまとめてみようと思って書きました。ちなみに、サビの部分の歌詞は〈君を愛したくはないよ〉になっているのですが、実際には〈君を愛したくないよ〉と「は」を入れないで歌っているんです。本当は入れたかったんですが、耳触り的にない方がいいのかなって。

小見山:耳触りの問題だったんだ!

moca:そう(笑)。でもどうしても入れたかったので、歌詞だけは入れてもらいました。

佐藤:そのこだわりは知らなかった。

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