「オタクもキッズも、お前の好きなスタイルで!」 Wienners、でんぱ組.incとの信頼のタッグで迎えたツーマンツアーファイナル
このツアーを経て「最強になって帰ってきた」Wiennersは、1曲目「MONSTER」でO-EASTにモンスターを呼び込んだかと思えば、「GOD SAVE THE MUSIC」で大きな音と大きな夢を鳴らす。Wiennersによる“音楽の処方箋”「Magic Bullet Music」では、アサミサエ(Vo/Key/Sampler)がボーカルを取るボーナストラックバージョンで披露するなど、彼らもまた、自分たちの好きなスタイルでライブを展開していく。さらに玉屋が「お前らの粋でいなせな踊り見せてくれる? もっと変な踊りできる?」との煽りから「SHINOBI TOP SECRET」が始まれば、ステージもフロアも粋でいなせな踊りで溢れかえり、「ブライトライト」では∴560∵(Ba/Cho)とKOZO(Dr)が繰り出す軽やかなリズムにあわせてリズミカルなハンドクラップが響きわたり、まるで観客の心の躍動が聞こえるようだ。アルバムの楽曲群がメンバーの体にはもちろんだが、観客の体にもしっかりと馴染んでいる。
キャッチーな前半を経て「FACTION」からはディープなブロックへ。「ASTRO BOY(Black Hole ver.)」「BIG BANG」と確かな演奏力によって、先ほどまではモンスターや忍者の世界にいたはずなのにすっかり宇宙へと誘われる。と思えば、ステージにアサミサエが一人残って「日本中 I WANT YOU」をキュートに歌唱。玉屋も「このツアーで一番盛り上がってた」と話していたが、観客はお手の物といった様子で、フロアは青色のサイリウムで染め上げられた。これもまた「オタクもキッズも、お前の好きなスタイルで!」の言葉そのまま、何よりも、誰よりも“好きなスタイルで”楽しんで鳴らしているのがWiennersの4人だ。
色とりどりの楽曲と共に賑やかなアクトが展開されたあとには、「あっという間だったね」と4人がツアーの思い出を語る。また玉屋はファイナルにでんぱ組.incとツアーファイナルを迎えられたことについて「胸がいっぱいです」と感慨深く口にした。
そしてここから、ライブはよりエモーショナルに。玉屋の「今日一番デカいリズムを鳴らそうと思うんですけど」との言葉通り、「HORO NOVA AZIO」では祈りのようにも聞こえるほど“デカいリズム”が会場中に響き渡る。それに乗せ、玉屋とアサミサエも賛歌のような切実な歌声を聴かせた。さらに「みんながくれたでっかいリズムのお礼に、Wienners4人で歌うんで受け取ってくれますか? 大事にポケットとかにしまって、家に持って帰って、また会うときに、今度は俺たちに投げつけてください」と言うと、4人は玉屋のギターの音色にあわせて、肉声でサビを力強く歌う。彼らの歌声にあわせて自然と大きなクラップが発生したその光景は、言われなくてもポケットにしまって大事に持って帰りたくなるほど感動的だった。
さらに、∴560∵がドラムのタムでリズムを刻み始めた「LIFE IS MY LANGUAGE」、玉屋が天に向かって手を伸ばしながら歌唱した「真理の風」と、描かれる世界観は徐々に壮大に。音楽に身を任せているだけだったはずが、自然と楽曲のメッセージもが入り込み、各々の願いや祈りとなって、身体中に染み渡っていく。ラストは「SOLAR KIDS」。パンデミック3年目の夏、世界中で悲しくショッキングなニュースの飛び交った夏だったが、Wiennersがとびきり楽しく踊らせてくれたのも今年の夏だったことを思い出した。
しかしこの日の熱狂はまだまだ終わらず。玉屋が「とんでもねえツアーだったな」と振り返ったアンコールで、ステージにでんぱ組.incを呼び込む。相沢梨紗が「玉屋さんの曲を一番歌えるのはでんぱ組.incだと思っている」と胸を張ったところで披露されたのは、そんな2組のコラボで、でんぱ組.incの「サクラあっぱれーしょん」と、Wiennersの「GOD SAVE THE MUSIC」。最初こそWiennersの周りに、少し遠慮がちに立っていたでんぱ組.incメンバーだったが、演奏が始まるとあっという間にテンションがあがりWiennersメンバーの隣で歌ったり、前にあるお立ち台に上がったりと大盛りあがり。2組は、キュートに、クールに、そして熱く、2曲を届けてステージをあとにした。
2組ともはけ、アサミサエによる影アナが流れ始めたところで、「呼ばれてないのに出てきた!」と、玉屋がみたび登場。つづけてWiennersメンバーがステージに揃うと「この日のための曲だよ、もう」と玉屋が言い、バンドは、その名も「Idol」をプレイ。彼らはでんぱ組.incに楽曲提供を行うよりも以前から「Idol」という楽曲を、ライブハウスで鳴らしていたのだから、これは偶然というべきか、運命と言うべきか。さらにアンコールを求める声は止まず、バンドは最後に「Cult pop suicide」まで披露した。玉屋はMCで「このツアーで、目に見えないはずの音楽が、喜怒哀楽を通して目に見えた瞬間が何度もあった」と話していた。その瞬間はこの日のライブでも確かにあったし、きっとこの日とは言わず、ツアーに足を運んだ人にはみんな、そんな瞬間が見えたのだろうと思う。そんな同じ音楽を“目にした”同士たちの熱が、この日のO-EASTにはまるで宝箱のように、最初から最後までぎゅうぎゅうに詰まっていた。
でもどうやら、来年のWiennersもすごいらしい。彼らは最後にこう言い残していったのだから。「開戦前夜の胸の高鳴りがしている」と。
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