ヤバイTシャツ屋さん、笑いと感動で溢れた“日本武道館ライブ”への本音 家族も登壇したメモリアルな1日を振り返る
(テレビでの演奏解禁)は『紅白』に出るために作戦を変えるっていうだけの話
ーーそれぞれ、あの武道館でいちばん強く印象に残っている瞬間は、どこですか?
三人:えー……(考える)……。
もりもと:……僕は、やっぱり家族パートが印象的で。共演して、曲が終わって、最後に姉がシャウトをかまして、拍手がワーッと起きた瞬間、思わず姉とハイタッチをしてハグをしてしまったのは、あれは感情が出てましたね。あそこで熱くなっちゃったのは、想定外でしたし、他の二家族に向けてもいいパスができたんじゃないかなと思います。
しばた:私は……最初、Buyer Clientで出てきたじゃないですか。その次、ヤバイTシャツ屋さんとしての実質1曲目の「Tank-top of the world」で、客席を見渡した時の光景が、すごく印象的でしたね。「うわあ、ヤバイTシャツ屋さんだけを観に来てくれた人が、こんなにいんねや」という気持ちでした。その前まで、SNSとかで、「初めて行きます」とか、「この間ハマってすぐチケット取りました」とか、「ほんまに何年ぶりかに行きます」とか、「いつも行ってるから、こんな大きいところでやってるヤバイTシャツ屋さんを観られるのがうれしい」とか、いろんな声を見ていたんで。「あ、この一人ひとり、いろんな感情を持って来てんねや」っていう、一人ひとりの光景がパッと見えた瞬間が、いちばん印象的でした。こやまさんは?
こやま:……タンクトップくんが、僕に現金を渡してきたんですよ。
ーーありましたね、そういう小芝居コーナー。
もりもと:そっちの方向性(笑)?
こやま:ボロボロのね、1000円札を渡してきて。モニター越しに観ると、お客さんからは1万円に見えていたみたいで。
しばた:そうらしいっすね。
こやま:その瞬間ですかね。
しばた:(笑)。その1000円札、スタッフの人のものなんですけど、こやまさんがそのままくすねようとしてて、後日「返してください」ってLINE来てました。それが印象的です(笑)。
ーー本当にそれでいい?
しばた:いいです! それがこやまさんの武道館の思い出です!
こやま:(笑)。ということもありつつ、印象に残ってる瞬間、なんやろなあ……あ、「リハでやってる時と全然ちゃうな」っていうのは、思いました。お客さんがいるのといいひんのとで、こんなに自分の気持ちが変わるんやな、と思いましたけど……印象に残ってる瞬間というと……ずっと印象に残ってるし、逆にずっとうっすらしてるかも(笑)。
ーーアンコールで、今年『NHK紅白歌合戦』に出られなかったら、2023年から、これまでNGにしていた地上波のテレビの音楽番組での演奏を解禁します、と発表されましたよね。
三人:はい。
ーー今年は武道館解禁、来年はテレビでの演奏解禁。今、ヤバイTシャツ屋さんは変革の時期を迎えている、という感じなんでしょうか。
こやま:やっぱりコロナ禍もあって、当初予定していたような活動もできていないし、いろいろ柔軟にならないといけないと思うんですよね。テレビに出ると言ったのも、『紅白』に出るために作戦を変えるっていうだけの話であって。別になんのオファーも来てないんですけど。もともと、テレビに出たくないわけじゃなくて、やっぱりあの番組もあの番組も、死ぬまでには出たいなと思ってたし。ちょうど来年は10周年やからーー。
しばた:盛り上げたい。
こやま:盛り上げたいんです。別に最新楽曲だけが正義じゃないと思ってるんで、昔のヤバTのいい曲とかいっぱいあるのを、みんなに広めたいなと思っていて。
しばた:逆に、最初の頃にヤバTを観ていて、今は観てないっていう人も、今観たら、またちょっと違うと思うんで。そういう新しい部分も知ってほしいし、昔の曲のことも知ってほしい。
ーー最後の質問です。後半に「寿命で死ぬまで」をやる前の、こやまさんのシリアスなMCが、とても印象的でした。あれは、言いたかったというよりも、言うのはしんどいけど言っておかなくてはいけない、というふうに、僕には思えたんですね。
こやま:いや、どうですかね? ……うーん……ずっと、そういう話はどっかでしたかったんですけど、なかなかそういう機会もないし。普段のヤバイTシャツ屋さんのライブはすごくハッピーやし、もちろんフェスとかやと、そういうまじめな話できひんし。ってなって、やっぱり最近、いろいろ考えることとかもあったんで。思ってることは、どっかでしゃべっときたいな、というのはあったんですけど……もう何しゃべったかも、憶えてないんですよね。まだ映像を見返してもないし。まあでも、考えてたことを、しゃべったような……どうなんですかね?
しばた:でもあれよね、「寿命で死ぬまで」をこの武道館のタイミングでやるっていうのは、自然に決まりましたよね。
こやま:そうやな。まだ3回目なんで、ライブでやるんが。
ーーで、武道館でこの曲をやるんだったら、いつもみたいにサラッと曲に行くのは違うな、というのがあったんでしょうね。
こやま:そうですね。サラッとやるより、ちゃんと、どういうことを考えてるかっていうのをしゃべってから演奏した方が、伝わるな、とは思ったんじゃないですかね。
ーーただ、それをしゃべってしまうと、演奏して歌う時のメンタルに支障をきたすというか。
こやま:うん、リハの時とかもメンタルに支障をきたしてました。何回やっても慣れへん。
しばた:けっこうしんどい曲でもあるからね。
こやま:しんどいです、この曲をやるのは。
ーーで、こやまさんとしばたさんは、この曲をやりながら涙腺決壊でしたけども。もりもとさんだけ泣くタイミングが違った、アンコールを終えて去る挨拶の時だった、というのはなぜ?
もりもと:バレました? 僕はグッとこらえたつもりやったんですけど。
こやま・しばた:(笑)。
もりもと:さっき言ったように、「寿命で死ぬまで」は、本当に、レコーディングをした音源も、ロクに聴いたことがないぐらい、思い入れがあるから。聴くとグッときすぎちゃう。それは3人とも同じ気持ちで、ふたりはこの曲をやる間、感情が高まるだろうから、僕はドラマーとして、ちゃんと演奏する方が、この曲への答えだと思ったので。こらえながら演奏した部分はありますね。
ーー感極まりそうになってはいた?
もりもと:そうです、3回中3回とも。で、武道館の時は、最後にそういう緊張が解けて、お客さんとしゃべってる時に、感情が出ちゃったのかもしれないですね。
ーーそれを見ておふたりは何を思いました?
しばた:もりもとらしいな、と思いました。
こやま:「武道館、やりたかったんやな」と。
しばた:もりもとだけは……うちらが取材とかで「おっきいところでワンマンやりたいっていうのはないんですよね」っていう話をしてる時も、「いや、僕はやりたい」って、あきらかに意見が食い違うことを言ってたんで(笑)。
もりもと:いや、黙ってた時もあった!
しばた:だから、ちょっと親心というか、「ああ、よかったね、武道館できて」という。
こやま:ははは!
■放送情報
ヤバイTシャツ屋さん "ぶどうかん" TOUR 2022 FINAL -日本武道館-
WOWOWプラスにてテレビ初独占放送
2022年10月30日(日)22:00~
収録日:2022年8月25日/収録場所:東京 日本武道館
https://www.wowowplus.jp/info/yabaitshirtsyasan/