THE ALFEE、歩みを止めず49周年に達する強み「『星空のディスタンス』も『星空のCeremony』も同じ感覚で求めてもらえる」

THE ALFEE、歩みを止めず49周年に達する強み

三声ボーカルの曲ができるのはコーラスを得意とするTHE ALFEEならでは

桜井賢
桜井賢

ーーみなさんにとっても、お客さんにとっても、ライブの魅力を再確認する機会になったんですね。そしてシングル2曲目に収録の「Circle of Seasons」は、フォークとロックが融合した、これもまたTHE ALFEEならではのアプローチの曲になっていると感じました。

高見沢:坂崎が「青い目のジュディ」を演奏する時に使っている、“オープンDチューニング”というチューニング法で作曲しています。3人のコーラスを駆使したいと思って作り始めたんですけど、結果的にすべてのメジャーコードを使った曲になっているんです。意図していたわけではないのですが、これは僕らにしかできない曲になったのではないかと思います。

坂崎:70年代に僕らが好きで聴いてきたサウンドを、THE ALFEEのオリジナルに取り入れた感じの曲になっています。「星空のCeremony」もTHE ALFEEサウンドですが、こういったフォークロックも我々の得意分野と言えますね。Dチューニングにも色々あって、今回は三弦もDコードまで下げているので、DとAしか使っていない和音なんです。マイナーもメジャーもないから独特な響きになるんですね。でも、制作の途中で高見沢から「Dフラットで弾けるかな?」と注文があって……Dからさらに半音下げなければならないので、当初は無理なんじゃないかなと思っていたんです。でも、いざレコーディングをするとなって、なんとか11フレッドを押さえることでカバーできました。この曲では高見沢が珍しくアコースティックギターを弾いているんですけど、それはレギュラーチューニングになっていて。僕の一本のみで演奏していたら違和感があったと思うのですが、高見沢のギターと合わせた2本で聴くとちゃんと成立するんですよ。

桜井:3人がバラバラにレコーディングする“コロナ禍におけるレコーディング”にもだいぶ慣れてきましたけど、坂崎が11フレットでギターを弾いているのを初めて聞きました(笑)。

ーーかなり挑戦的なレコーディングだったんですね。それに本曲のボーカルは、最初から最後まで三声で歌っています。これもTHE ALFEEのディスコグラフィーでは珍しいですよね。

坂崎:僕のラジオ番組で、最初から最後まで三声ボーカルで歌っている曲の特集を組んだんですよ。そしたら過去の曲の中でも三声ボーカルで歌っているものが6曲しかなくて。意外と少ないね、なんて話になったんです。プログレが3曲と、初期のアコースティックが3曲だったかな。だから三声ボーカルの曲を増やそうと思って作り始めたんですけど、こういったロック調の三声ボーカルは今までなかったですね。

桜井:歌っていても開放感がありますし、こういう曲ができるのはコーラスを得意とするTHE ALFEEならではだと思います。今回のシングルは両A面なので振り幅の大きい歌とサウンドを楽しんでもらえるのではないかなと。それにこういったコーラスワークやギターが多めの曲は、我々の世代は懐かしさを感じるかもしれないですけど、若い世代の方々にはきっと新鮮に感じていただけるのではないかなと思いますね。

高見沢:そうだね。ラジオのオンエアとかではぜひ両方かけてほしいですね。尺的にワンコーラスずつになるかもしれないですけど(笑)。

ーー「Circle of Seasons」は、前回のシーズンで主題歌を務めた「Joker -眠らない街-」から引き続きドラマ『記憶捜査3』の主題歌です。ドラマがきっかけでより多くの人に届く楽曲になりそうですね。

高見沢:そうですね。タイアップのお話自体はレコーディング中にいただいたのですが、ドラマに書き下ろした「Joker -眠らない街-」とは違い、今作は出来上がった楽曲をドラマ側に提出したのですが、それが見事にハマっていただけたみたいです。(ドラマ主人公の)鬼塚刑事の記憶に残るような楽曲になればと願っております。

ーー歌詞は〈まだこの人生は 終わらない〉などメッセージ性の強い言葉が並んでいて、人生に奮起する方々の背中を押すような歌詞は「友よ人生を語る前に」とも通じる部分があるように思います。

高見沢:今もなお、コロナ禍の閉塞感ってあると思うんです。そういう閉塞的な状況から脱出したい、「気にせずにいこうぜ!」みたいな明るい歌詞にしました。もともと音楽というものは、閉塞感をぶち破るという特性があると思うんです。僕らはそれを〈Anyway, never mind 〉〈気にしないで行こうぜ〉という歌詞と、開放感のあるフォークロックサウンドで表現したんです。

僕らのファンの方々は最新の楽曲を待ち侘びてくれている

ーーまだまだ予断は許さない状況ですが、他アーティストのライブ開催なども増えていますし、徐々に回復の兆しは見えていると言っていいのでしょうか。

高見沢:これから本当にどうなっていくんでしょうね……我々としては早く収束してほしいと願いつつ、今はまだ明確な対応策がない中で、個々の判断に委ねられている状況ですよね。感染対策をしっかりした上で、ライブやイベントを開催するようにはなってきてはいますが、不安が残ったままだとお客さんも人が集まる場所に来づらくなってしまうのではないかと思います。僕らの場合は、有難いことにファンの方々が待っていてくれていたことを確認することができたので、そこへの感謝の気持ちでいっぱいです。

坂崎:コロナ禍の外出自粛期間から現在まで、外食さえ億劫になった方もいると思うんです。コンサートに対しても、行きたい気持ちはあるけどやめておこう、無理していく必要はないかな、みたいな声を耳にすることもあって。そういう考え方がこの2年の間に浸透しちゃった感じはありますよね。だからこそ、THE ALFEEのファンの方々がずっと待っていてくれたことは、本当にありがたいことだなと思います。

ーーツアーやイベントを通してファンの方々の熱量を感じられたと思いますが、それが次の曲に反映されることもありますか?

高見沢:今、THE ALFEEに対する期待と言いますか、注目度が高まっている感覚があって。コロナ禍によって受けたダメージは本当に大きかったんですけど、そのおかげで僕らは初の配信番組にも挑戦しました。そこからTHE ALFEEのことを知ってくれた方々もたくさんいるんです。コンサートがなかった期間にも曲は休まず作っていたのでストックはたくさんあります。でも、そういったファンの期待に応えられる楽曲を作りたいと思うからこそ、ストックからではなく、さらに新しい曲を作り続けているというのもあります。

ーーバンドが50周年へと進む中で、注目度の高まりを皆さんが感じられるのは、非常に良いことだと思います。

高見沢:先ほども少し触れましたが、コロナ禍で受けたダメージは非常に大きいながらも、それがなければ見つけられなかった発見や出会いもたくさんありました。THE ALFEEは元々YouTubeや動画配信はやっていませんが、いざ配信番組『Come on ! ALFEE !!』をスタートしたら幅広い世代の方々から好評で、今ではシーズン5まで続いています。それに今では本人でなくても勝手に動画を上げることができるでしょ(笑)? そこから知ってもらうこともあるわけで。コンサートグッズのDVDパンフレットに収録されている「ALFEE KITCHEN」なんて、あれはファンの方々がDVDで見るようなものなのに、(非公式動画として)世界中に流れているわけだからね。知ってもらう機会にはなっているのかなと思います。

ーーネットを経由して浸透している部分もあると。

高見沢:出会いはそういうきっかけだったとしても、それで終わらずにライブにも来てもらえたらなとは思いますね。やっぱり、生でお客さんの前で演奏するのがバンドの醍醐味ではあるので。

坂崎:新しいファンの方々にも、「THE ALFEEといえばライブ」という認知が浸透しているように思います。春ツアーや夏のイベントでも初めてライブに来たというお客さんがけっこういたみたいで。やっぱり、CDや動画だけではなく、ライブを見に来てもらいたいですね。

ーーバンドとしては、今年デビュー49周年イヤーとなり、2024年に迎える50周年も目前になりました。秋ツアー『THE ALFEE 2022 Autumn Tour Genesis of New World 秋の天地創造』や日本武道館、大阪城ホールでの『THE ALFEE 2022 Winter Genesis of New World Final 冬の天地創造』の開催も控える中、今後をどのように考えていますか?

桜井:50周年がどうなるかはわかりませんが、まずは49周年をしっかりと積み上げていきたいですね。やっぱり、49周年を頑張った上で50周年を迎えないと意味がないんですよ。その時々を大切にTHE ALFEEはずっとやってきたし、その積み重ねを大事にしていきたいですね。

坂崎:50周年くらいになると、再結成も多いですからね。そうなると、ファンからも往年の名曲を求められることが多いと思うんですけど、僕らのファンの方々は最新の楽曲を待ち侘びてくれているんです。それも活動休止などを挟まず、一歩一歩積み重ねてきたおかげだと思っていて。「星空のディスタンス」も「星空のCeremony」も同じ感覚で求めてもらえる。それがTHE ALFEEならではの強みなのかなと思います。

■リリース情報

10月5日リリース『星空のCeremony / Circle of Seasons』

限定盤A
M-1星空のCeremony(作詞・作曲:高見沢俊彦 編曲:高見沢俊彦 with 本田優一郎 ストリングスアレンジ:萩森英明)
M-2 Circle of Seasons(作詞・作曲:高見沢俊彦 編曲:高見沢俊彦 with 鎌田雅人)
M-3 おくりもの(春の天地創造ツアー 2022 Live Ver.)(作詞・作曲:高見沢俊彦)

限定盤B
M-1星空のCeremony(作詞・作曲:高見沢俊彦 編曲:高見沢俊彦 with 本田優一郎 ストリングスアレンジ:萩森英明)
M-2 Circle of Seasons(作詞・作曲:高見沢俊彦 編曲:高見沢俊彦 with 鎌田雅人)
M-3 美しいシーズン(春の天地創造ツアー 2022 Live Ver.)(作詞:有川正沙子 作曲:高見沢俊彦)

限定盤C
M-1星空のCeremony(作詞・作曲:高見沢俊彦 編曲:高見沢俊彦 with 本田優一郎 ストリングスアレンジ:萩森英明)
M-2 Circle of Seasons(作詞・作曲:高見沢俊彦 編曲:高見沢俊彦 with 鎌田雅人)
M-3 Jupiter〜星空のディスタンス(春の天地創造ツアー 2022 Live Ver.)
Jupiter (作曲:Gustav Holst)
星空のディスタンス(作詞:高見沢俊彦・高橋研 作曲:高見沢俊彦)

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