THE ALFEE、歩みを止めず49周年に達する強み「『星空のディスタンス』も『星空のCeremony』も同じ感覚で求めてもらえる」

 今年で結成49周年を迎えるTHE ALFEE。2022年だけでもアルバム『天地創造』のリリースや春ツアー、夏のライブイベントと歩みを止めることなく精力的に活動を続けている。そんな彼らが10月5日、1年ぶりのシングル『星空のCeremony / Circle of Seasons』をリリースした。「星空のCeremony」は、THE ALFEEのハードロックサウンドの側面をシングルとして打ち出した楽曲。「Circle of Seasons」は、三声ボーカルのハーモニーとフォークロックサウンドが融合した奥行きのある楽曲。真逆の性質を持つ2曲でありながら、どちらも“THE ALFEE”らしいものに仕上がっている。今回のインタビューでは、高見沢俊彦、坂崎幸之助、桜井賢の3名に本シングルの制作についてじっくり話を聞いた。さらに、この2年間の歩みの中での気づきやバンドの新たな可能性など、常に前を向く彼らの心強い言葉も聞くことができた。(編集部)

切なさを「星空のディスタンス」とは違う形で表現できた

高見沢俊彦

ーー両A面シングル『星空のCeremony / Circle of Seasons』は、『The 2nd Life -第二の選択-』から約1年ぶりのシングルリリースになります。ただ、その間にはアルバム『天地創造』のリリースや春ツアー『THE ALFEE 2022 Spring Tour Genesis of New World 天地創造』や夏のライブイベント『 THE ALFEE 2022 Summer Genesis of New World 夏の天地創造』を開催。精力的な活動を行う中で、今作はどのように生まれたのでしょうか?

高見沢俊彦(以下、高見沢):今までのシングルは表題曲がバラードやミディアムテンポの曲が多かったので、THE ALFEEのハードな一面を出したシングルにしてみようと作ったのが「星空のCeremony」です。我々はライブバンドとして長年活動を続けているわけですが、ステージ映えという意味でも非常にいい曲ができたのではないかと手応えを感じています。

桜井賢(以下、桜井):非常に軽快なテンポ感で、ありがたいことにキーも少し高め(笑)。「星空のディスタンス」の〈カシオペアを見上げ夢を語る〉に続くように、この曲にも〈カシオペアを探して〉という歌詞が出てきますから、「さすが高見沢、うまいこと持ってきたな」と思いました。「星空シリーズ」としていい曲ができましたね。

坂崎幸之助(以下、坂崎):サウンドは軽快なんですけど、歌詞を見ると切なさもある。でも、決して湿っぽいわけではなく、さっぱりしているんですよね。高見沢らしいメロディアスな曲調で、ハードロックやプログレッシブロックの要素がありながらも、メロディが際立っていてコーラスもしっかり入っている。それが実にTHE ALFEEらしいなと。あと、僕の役割で言うと、いつも高見沢がデモの段階で仮のギターを入れてきてくれるのですが、すでにその時点でいいギターの音がしていたんですよね。「いや、これこのまま使ってもいいんじゃないか?」と思ったくらいです(笑)。

高見沢:それはダメだよ(笑)。

坂崎:あれは高いギターでしょ? Martin ooo-15Mじゃなくて何?

高見沢:バッキングはMartin D-45で、間奏は15だね。

坂崎:やっぱりそうか。で、その仮ギターを軸にしつつ、Aメロのバッキングはアルペジオで弾いているんですけど、けっこう細かく面白いことをやっていて。周りの音が大きいので音源ではそこまで目立たないかもしれませんが、ライブで皆さんの前で披露するのが楽しみですね。

ーー皆さんがおっしゃるようにTHE ALFEEらしい曲に仕上がっていると感じました。リファレンスとして参考にしたものや意識された年代はありますか?

高見沢:年代的なものは全然意識はしていなくて、今のTHE ALFEEが一番表現しやすい曲、という感覚で作っていきました。世間のトレンドとしてはギターソロのない曲が流行っていたり、ギターのイントロはいらないという声も耳にしますが、僕らのやり方でTHE ALFEEの現在の音を提示したのが「星空のCeremony」なのかなと思います。

坂崎:僕らは歌と同じくらい楽器も好きなバンドなので、自分達の好きなギターフレーズを歌と同じ分量で入れたいという気持ちが強くて。だから、イントロや間奏もガッツリ弾いてますね(笑)。

ーー桜井さんもおっしゃっていたように、歌詞は「星空のディスタンス」との繋がりを感じさせます。

高見沢:そうですね。「星空のディスタンス」は「遠く離れていたとしても気持ちは一つだよ」という遠距離恋愛の気持ちを歌った、どちらかといえば熱い歌になっています。でも、そこから38年の時が経つと、遠く離れ過ぎてしまって恋人関係を保つのも厳しい状況になるわけですよ。それは、コロナ禍で遠距離恋愛をしていた人たちにも重なる部分があると思うんです。何か大きな喧嘩をして別れるわけではなくて、物理的な距離の大きさ、コロナ禍、それらによる自身の心境の変化などが相まって、愛はまだ残っているけれど各々の道を歩んでいこうというドラマが起こるんです。そういった切なさを「星空のディスタンス」とは違う形で表現できたなと思いました。

お客さんの拍手がどれだけ僕らのパワーになるのか、改めて感じることができた

坂崎幸之助

ーーここ何作かは“コロナ禍”という世相を取り込んだ楽曲もたくさん作られてきたかと思います。2020年以降はバンドとしてもライブツアーができず、無観客ライブの配信などを行ないながらも苦しい期間が続きましたが、ようやく今年になって有観客ツアーを開催しました。

高見沢:本当によかったです。春のツアーは一公演も延期することがなかったですし、夏のイベントも無事に開催することができました。コロナ禍の緊張感は変わらず持っていましたが、ライブが始まってお客さんと相対すると、そんな不安も一気になくなったというか。もちろんお客さんは声を出すことはできませんが、それでも拍手から皆さんの思いの強さを感じることができました。僕らのようなライブを主軸に何十年もやってきたバンドは、会場にいるお客さんが一番の味方で。お客さんの拍手がこんなに心に響くとは思ってもみなかったですね。

坂崎:無観客ライブを二年間やってきて、正直ちょっと戸惑いもあったんです。お客さんの姿がないと心地良いはずの達成感も、時には疲れにしか感じられないことが多くて、本当に僕らはお客さんに助けられていたんだなと実感しました。ライブですから当然ミスをすることもあって、それが無観客だと納得がいかないという気持ちが大きくなってしまうんですけど、お客さんがいると全然感覚が違うんです。有観客の場合は、歌詞を飛ばそうが、演奏を間違えようが、お互いにその瞬間かぎりの同時性を体感できるというんですかね。それも含めて一緒にライブを味わっているという感覚に救われます。やっぱりそれがライブの正しい姿であって、お客さんがいてくださってこそのライブですよね。もちろん、無観客ライブもカメラの先に見てくださっている方がいるんですけど、その瞬間瞬間に起こる反応や評価を感じ取ることはできない。今回のツアーを通して、お客さんの拍手がどれだけ僕らのパワーになるのか、改めて感じることができましたね。

桜井:我々は普段通りと思っているんですけど、お客さんはマスクをして声も出せないわけですよね。特にTHE ALFEEのファンは皆さん真面目で、きちんとルールを守ってくださるんですよ。コントのコーナーでは、思わずクスっていうのはあると思いますけど(笑)。声が出せない分、拍手や身振り手振りで応えてくれていることが、高い熱量で伝わってきましたね。みんなMAXで楽しんでくれているのを肌で感じました。お互いのパワーを交換できていて、やっぱりコンサートはこれだよなと改めて実感しましたね。

関連記事