Hey! Say! JUMPメンバー分析 第8回:八乙女光、アーティスティックな多才ぶり バラエティでも見せる朗らかさ
8月24日にニューアルバム『FILMUSIC!』をリリースするHey! Say! JUMP。6月のInstagramアカウント開設に続き、7月24日にはYouTube公式アーティストチャンネルを開設するなど、話題に事欠かない。デビュー15周年を前にメンバー個々の活躍の場を広げながら、グループとしても勢いを増す彼らの魅力に迫る。最終回は八乙女光。
『金八先生』の迫真の演技で世に残したインパクト
常にハッピーなオーラを纏い、笑顔を届けてくれるのが八乙女光だ。バラエティ番組での“天然キャラ”のイメージが強い八乙女であるが、彼の名前が多くの人に知られたのは、2004年に薮宏太らと共に出演した『3年B組金八先生(第7シリーズ)』(TBS系)だろう。八乙女演じる丸山しゅうが薬物中毒となり、禁断症状で錯乱する場面は鬼気迫るものがあった。焦点の定まらない目で床にこぼれた水を一心不乱で啜るシーンに衝撃を受けた視聴者も多いのではないだろうか。当時はそんな難しい役どころを体当たりで演じきった八乙女に、ジャニーズ事務所入所わずか2年とは思えない強いプロ意識を感じたことを鮮明に覚えている。
2011年には、Kis-My-Ft2の玉森裕太、藤ヶ谷太輔と共にドラマ『美男ですね』(TBS系)で連続ドラマ初主演を果たした八乙女。2014年の初単独主演ドラマ『ダークシステム 恋の王座決定戦』(TBS系)では“非モテ男子”としてハイテンションなコメディに挑み、2017年の有岡大貴、髙木雄也とトリプル主演のドラマ『孤食ロボット』(日本テレビ系)では打って変わってキュートな小さなアンドロイドという、かつてない役どころにも挑戦した。愛らしいアンドロイド姿はもちろん、おいしい料理やあたたかいストーリーもどこか普段のほっこりとした八乙女とシンクロする部分も。『金八先生』のインパクトが強烈だっただけに、八乙女の演技の振り幅に驚かされる。
舞台でも、その存在感は発揮されている。2014年、殺人事件を描いた主演舞台『殺風景』では、暴力団一家である菊池家の次男・稔と、その父・クニオの若かりし頃という二役を演じた。家族の愛を渇望しながら悪に溺れていくというヘビーな役柄を熱演し、共演者の西岡徳馬も「メンバーが見たら嫉妬すると思うよ」と、八乙女の演技を絶賛した(※1)。2018年には、髙木とのダブル主演で舞台『薔薇と白鳥』でシェイクスピア誕生の秘話に迫る歴史ミステリーに挑戦。八乙女が演じたのは天才劇作家・マーロウ。膨大な量のセリフに加えて、作・演出のG2から毎日大量のダメ出しをくらっていたという八乙女ら。しかし、音を上げることなく課題に向き合い、成長していく姿にG2も「こんなにできるようになるなんて、ぽろっときちゃった」と感動したという(※2)。髙木と切磋琢磨する関係性に加え、「悔しい」という気持ちをバネに成長を続ける八乙女ならではの姿だったと言えるだろう。
作詞を筆頭に垣間見える独自の世界観
音楽的な才能に秀でて、ベースを中心に楽器演奏もこなす八乙女は、グループの作詞、作曲を手がけることも。「アイ☆スクリーム」の〈グローリーに夢中 適当な空文 流れる風潮 かたむく空想〉といったワードチョイスや、「コンパスローズ」の〈カモメ 生意気に笑う〉〈起こすな!と尻尾ふって寝返りうつだけ〉など、八乙女ならではのリリカルな世界観を随所に感じることができる。ラップ詞を手がけた「AinoArika」の〈想定外な仰天するような答えに/期待したい今俺が相当、/君に酔ってる寄ってる気持ちは本当〉といったリリックも秀逸で、同曲は二宮和也がラジオ番組の“お宝音源”としてカバーしたことでも知られている。また作曲も手がけた「Come Back…?」の難解で不思議な世界観の歌詞は、圧巻の一言。〈「鈍」「廃」「奇」「美」「乱」〉、〈You’re a liar 後悔の理論 後退の意図〉の箇所は特に、歌詞カードの文字の美しさまで計算し尽くされた名曲であるように思う。
ダンスのシンクロ率の高さやフォーメーションの美しさでも知られるHey! Say! JUMPの中で、八乙女のダンスは常に安定感がある。ダンスの基礎が身についているからこそだろう。ジャンルを問わずに器用にダンスをこなす姿もまた、彼の持ち味なのではないだろうか。
また、Hey! Say! JUMPのメンバーをイメージしたという、グループのマスコットキャラクター「9ぷぅ」を考案したのも八乙女である。レギュラーを務める『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)内の「あつまれ!やおとめの森」コーナーでもDIYの腕前を披露するなど、その器用さにますます磨きがかかっている。