Tani Yuuki、リスナーとの親密なコミュニケーションの大切さ リアルのライブを重要視するようになった心境の変化
新しいチャレンジだと思って、今はライブをやる一年
ーーレコーディングには、ベースにヒトリエのイガラシさん、ドラムにゆーまおさんが参加されていますね。
Tani:それもライブが関係してて。結局、この曲に求めてることってライブでの盛り上がりや一体感なので、アレンジはそもそもバンドでライブすることを想定してのものになりました。今まではライブでも原曲になるべく近いアレンジで、シーケンサーを使って同期することを重視してたんですけど、やっぱりライブ映えしにくい。だから最近はバンドサウンドに落とし込んで、ライブ用にアレンジしてるんです。ーー話を聞いていると、今はかなりライブを重視してるようですね。
Tani:そうですね。曲を出して、それをいろんな人が聴いてくれるのはもちろん嬉しいんですけど。とはいえ、一番近くで音楽を届けられる場所はライブなんだって最近よく思ってて。初めてのライブを代官山LOOPでやった時に、どのくらいの人が来てくれるのか不安があったし、実際開催してみると本当にお客さんを集めるのって大変だなと思ったんです。僕自身この活動を長く続けたい気持ちがあるので、みんなと触れ合える場所や時間は大切にしたくて。
ーーTaniさんのような若い世代だとファンとのコミュニケーションもすべてネット上だけで完結できてしまいそうですが、リアルのライブにこだわる理由はありますか?
Tani:やっぱり顔を直接見られるのは大きいです。インターネットでのやり取りもそれはそれでいいんですけど、実際にお客さんの目の前に立ってみると全然違うなって思うんですよ。温かさとか空気感とか緊張感とか、感覚的な部分はすべてリアルの方が上回ってる。それと、自分よりももっと大きなステージでやってる先輩方のライブに憧れてる部分も当然あって。
ーーというと?
Tani:それこそ僕が好きなRADWIMPSや、ONE OK ROCKのライブはめちゃくちゃカッコいいんですよね。あんなにマイクで煽られたら「生きよう」って思うじゃないですか。そういうことが言えちゃう空気なのも良いし、そういう熱量みたいなものって文字だけだと伝わらないから。
ーーTaniさんから見て、RADWIMPSのライブの魅力は何ですか?
Tani:バラードから盛り上がれる曲までのバランスの良さ、それと一番良いのはコール&レスポンスがあるところ。お客さんとのコミュニケーションをすごく意識してるのを感じるし、そこは自分のライブ作りにもアウトプットしたいです。
ーー6月24日の代官山UNITでの対バンライブ『Tani Yuuki Presents LIVE “LOTUS”』でも、まさにTaniさんとお客さんとの親密なコミュニケーションが印象的でした。
Tani:前のワンマンでは、お客さんの目すら見れなかったんですよ。それこそ会話みたいなこともまったくなくて。お客さん側にも遠慮はもちろんあったのかもしれないですけど、それを追い越せてのアーティストみたいなところもあるじゃないですか。歌ってさよならだけなら、本当にサブスクだけでいい。だからちゃんとお客さんの目を見て、全員の顔を覚えて帰るくらいコミュニケーションを取りたいなと思ってます。
ーーツアータイトル『LOTUS』の意味も話されてましたね。
Tani:今までインターネットが活動のメインだったので、お客さんと対峙できる瞬間や他のアーティストと絡む機会ってほとんどなかったんです。そういう意味でも、世界を広げた先にいる初めて会う人たちと、同じ一つの空間で時間を共有するのが、蓮(=lotus)の葉っぱの根が一つに繋がってるという話に重なるところがあると思ってて。
ーーTaniさんって、「決別の唄」(1stアルバム『Memories』収録)で歌っていたように、他人と一緒に活動してたところからソロ活動へと切り替えた方じゃないですか。なので今回の対バンツアーは意外だったんですよ。もっと一匹狼なスタイルで行くのかなと思ってました。
Tani:一人でというのは当時は思ってたんですけど、今の事務所に入ったあたりから、一人で活動していくことへの限界を感じてましたし、他の人の曲を生で聴いてみたいと思うようになったりもして。こんな時期なので、他の方のライブを観る機会って本当に少ないんですよ。それに自分よりも大きな会場でやってる人のライブを観ても、規模が違いすぎて参考にするのは難しい。だから同じ目線、同じステージでやってる人たちのライブを実際に生で観てみたいと思うようになって。そうすると、かたやバンドでやる人もいれば、かたやアコースティックギターとループステーションだけでやる人もいる。ものすごく自分のライブ作りの参考になるんです。
ーーなるほど。対バンは、相手の技術を吸収するためという面も大きいと。
Tani:大きいです。それを見て実際にループステーションを試してみたりとかしましたし。
ーーちなみに、これまで対バンしてきたなかで一番刺激を受けたのは?
Tani:やっぱりAnlyさんのループステーション捌きは僕の中では衝撃的でした。あとはOmoinotakeさんもそうですね。あの余裕はどこからくるんだろうとか。会場を巻き込む感じもすごく良いし……。「もっとちゃんとPAさんとやり取りしなくちゃいけないな」とか思ったり。あとは今回の対バンツアーとは関係ないんですけど、清水翔太さんのライブを観た時に、歌詞が飛んでも会場に笑いが起きてて、その空気感がすごく良かったんです。MY FIRST STORYのライブでも、ラストの曲で客席に向かって煽った瞬間に、本当に会場全体の空気がガラッと変わるみたいなことを目の当たりにして。「夢喰」でもそういうことが実現できたらなと思ってます。
ーー他のアーティストの良いところを素直に取り入れようとするTaniさんの姿勢、素晴らしいと思います。
Tani:自分自身が、自分のやってることに飽きちゃうのが一番良くないと思ってて。新しいことを吸収してそれを実際にステージで出せた時、「自分、まだ伸びしろあるじゃん」ってワクワクしますね。ーー対バンツアーとは別で、アコースティックライブのツアーも同時並行で進んでるんですよね。
Tani:元々人前に立つのが苦手なので、ライブが終わってから次の開催まで1〜2カ月インターバルがないときつかったんですけど、このライブ尽くしをこなせばこの苦手意識を克服できるんじゃないかと思って。この期間は武者修行のつもりでスケジュールを組んだんです。新しいチャレンジだと思って、今はライブをやる一年にしてます。
ーーそれでは最後に、今後の目標を聞かせてください。
Tani:やっぱりステージを大きくしていきたいですね。その準備段階が、この対バンツアーだったりアコースティックツアーだったりします。今の自分の課題を克服して、年明けあたりにもう一段階ステップアップしたい。そのためにも、今回の新曲は強い武器になったなって。夏フェスとかにも出させてもらいますけど、そこでも勝負できる曲だと思います。「Tani Yuukiってライブいいよね」といろんな人に思ってもらえるように頑張りたいですね。
※1:https://realsound.jp/2022/03/post-988433.html
■リリース情報
Tani Yuuki「夢喰」
2022年6月22日(水)配信リリース
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