YamashiRoll & KAJA、iTunesレゲエチャート1位も獲得した楽曲制作のこだわり ユニット結成秘話や今後のビジョン語る
もともとはヒューマンビートボクサーとして活躍し、ダンスホールレゲエ、ヒップホップのシーンで活動しているKAJA(Vo)。エレクトロニックジャムバンド・no entryのメンバーでもあるYamashiRoll(Gt)。渋谷のクラブで出会った二人が結成したのが、ジャパニーズレゲエの進化型と称すべきユニット・YamashiRoll & KAJAだ。
デビュー曲「In The Groove」はKAJAのハスキーな歌声、生楽器の響きを活かしたオーガニックなグルーヴ、レゲエとポップスをハイブリッドさせたアレンジなど、このユニットの特性が存分に活かされた楽曲。iTunes Storeレゲエチャートで1位を記録し、理想的なスタートダッシュとなった。
リアルサウンドでは、YamashiRoll、KAJAにインタビュー。ユニット結成の経緯、楽曲制作のプロセス、新曲「Get Up!!」、今後の活動ビジョンなどについて聞いた。(森朋之)
「リスナーの幅が確実に広がりました」(KAJA)
——YamashiRoll & KAJAの活動は2021年にスタート。まずは結成の経緯を教えてもらえますか?
YamashiRoll:KAJAくんとはかなり前からクラブで顔を合わせていたんですよ。僕は以前やっていたThree Primary Colorsというクラブジャズ系のバンドで演奏していて、KAJAくんはヒューマンビートボクサーのグループで出ていて。
KAJA:NATURAL VYBZというビートボクサーの3人組バンドですね。
YamashiRoll:その頃は挨拶するくらいだったんですけど、コロナ禍になって、バンド活動が滞るようになって。知り合いのシンガーやラッパーと何かできないかなと模索してるなかで、KAJAくんのことを思い出して。久しぶりにライブを観に行ったら、すごくエネルギーを感じたし、自分のなかで“絵”が浮かんだんですよ。
——二人で音楽をやるイメージが浮かんできた、と?
YamashiRoll:そうですね。ヒューマンビートボクサーではないKAJAくんの歌のスタイルもよかったんですよね。ダンスホールレゲエのDee Jay(MC、ラッパー)のテイストもあるし、メロディもあって。NATURAL VYBZの頃からそうなんですけど、その場を持っていくパワーやフロントマンとしての華もあるし、すぐに声をかけました。
——KAJAさんのルーツもやはりレゲエやダンスホールなんでしょうか?
KAJA:ヒューマンビートボックスを始めたのが先なんですよ。最初はヒップホップの現場が多かったんですけど、その後、レゲエのイベントにも参加するようになって。
YamashiRoll:クロスオーバーしてますからね、そこは。ヒップホップとレゲエのリスナーは重なってる面積はかなり大きいし、ファッション的にも共通しているので。no entryもジャムバンドの要素があって、CHAN-MIKA、マーレーズ☆とか、レゲエシーンとのつながりもあったんですよ。レゲエのテイストを取り入れることもあって。
——なるほど。YamashiRoll & KAJAをバンドではなく、ユニット形式にしたのはどうしてなんですか?
YamashiRoll:バンドを10年以上やってきて、その楽しさも十分に知ってるんですけど、同時にメンバーの足並みをそろえる大変さも感じていて。YamashiRoll & KAJAの楽曲はすべて生音で作っているし、基本的にはバンドサウンドなんですが、メンバーを固定しないで、いろんなミュージシャンと一緒にやったほうが音楽性も広がっていくのかなと。もちろん、ベーシックな部分は僕とKAJAくんが作ってるんですけどね。僕のポジションはギタリストというより、コンポーザーの側面が強いかもしれないです。
——KAJAさんは、ユニットやバンドのボーカリストとして活動するのは今回が初めてですか?
KAJA:そうですね。ミュージシャン同士のセッションのなかで歌ったことはありますが、メンバーと一緒に曲を作って、ライブをやるというのは初めてだし、めちゃくちゃ新鮮です。バンドサウンドをバックに歌うのは夢でもあったので、それが叶ってうれしいですね。
YamashiRoll:楽曲も二人でやりとりしながら作ってるんですよ。まず僕がベーシックなトラックとサビを作って、KAJAくんに送って。ラッパーとコラボするときと同じように、「このパートは自由に歌って」という感じでメロディとリリックを入れてもらうんです。そこからまたイメージを膨らませて、アレンジや構成を考えて。もちろんKAJAくんが歌うことが前提だし、彼の声のおいしい部分をバランスよく出したいと思ってます。
KAJA:リリックのテーマやイメージも共有してましたね。“夏”“夕暮れ”くらいですけど(笑)。
YamashiroRoll:1曲目は何でもありというか、自由にアイデアを出し合ってたんですよね。
KAJA:「この音を入れてみよう」みたいなことも気軽に言わせてもらって。
YamashiRoll:KAJAくんの歌から始めるのは最初から決めてたんですよ。すごくパンチがあるし、耳に止まるので。
KAJA:ありがとうございます。ライブの現場で鍛えてきたところもあるし、それを音源にも込められたのかなと。
YamashiRoll:今はSNSなどで音楽を聴く人が多いし、情報過多というか、どんどんスクロールされてしまうので、5秒以内で歌が聴こえたほうがいいなと。シンガロングできるフレーズを入れたり、ライブで盛り上がる要素も入れています。ただ、あまりにもポップスに寄り過ぎるのも違うというか、ダンスホールレゲエのリスナーの方々にも「いいな」と思ってもらえる曲にしたかったので、トラック感は意識しましたね。
——そうして完成した「In The Groove」は、iTunes Storeレゲエチャートで1位を獲得しました。
KAJA:嬉しかったですね、単純に。これまで自分の音楽を聴いてくれてた人から「最高じゃん」という声をたくさんもらったし、今までつながってなかった方々からもすごく反応があって。リスナーの幅が確実に広がりました。