德永英明、小田和正、DREAMS COME TRUE……SHINee オンユのJ-POPカバーに見る、歌手としての表現力

 7月6日、日本初のソロアルバム『Life goes on』をリリースしたSHINeeのオンユ。このアルバムの発売に先駆けて、デジタルEP『Who sings? Vol.1』を6月1日に先行配信した。同EPは、J-POPのカバーを4曲収録した作品となっている。

 今回は、『Who sings? Vol.1』や、これまでの日本語カバー曲から、歌手・オンユの魅力を紐解いていきたい。

5万人を感動させた「レイニーブルー」

オンユ(SHINee) – レイニーブルー (from SHINee WORLD 2014~I'm Your Boy~ Special Edition in TOKYO DOME)

 オンユはSHINeeの日本ツアーで何回かJ-POPのカバー曲を披露している。その中でも特に話題になったのが、2014年に開催されたSHINeeにとっての初の東京ドーム公演『SHINee WORLD 2014~I’m Your Boy~ Special Edition in TOKYO DOME』で披露した德永英明「レイニーブルー」のカバーだった。

 テミンが弾くピアノのソロが流れる中、モノトーンのセットアップを着てピアノの横に立つオンユ。「レイニーブルー」のイントロが始まると、静かにステージ前方へ歩き出し、静かに目を瞑って歌い出す。別れた相手を忘れられず、雨の中思い出してはたたずむ主人公の姿を歌ったこの曲を、オンユは歌詞の一つ一つを噛み締めるように、しっとり切なく歌い上げていた。

 最後のクライマックス、ブリッジ部分で、これまでの思いが解き放たれたように歌う。そしてオンユの頬に伝う1粒の涙。彼の歌に聴き入っていた東京ドームに大きな拍手と歓声が沸き起こった。涙を拭うと、テミンと目を合わせ微笑んだ後、「ありがとうございます」と挨拶をしてステージから去っていった。このカバーの評判は、德永英明本人にも届き、コンサートでも言及されていたようだ。

 この曲の「涙の理由」が度々取り上げられるが、どんな理由があるのせよ、最後の頬を伝う涙はオンユの「レイニーブルー」の全てを物語っていた。それくらいこの曲に感情移入し、多くの人たちの心を揺らしたことは間違いないだろう。

オンユとJ-POPとの親和性

 デジタルEP『Who sings? Vol.1』では、「キラキラ」(小田和正)、「鱗(うろこ)」(秦基博)、「Everything」(MISIA)、「やさしいキスをして」(DREAMS COME TRUE)の4曲のJ-POPのカバーを歌唱している。

 最初に先行配信されたのは「キラキラ」だった。タイトル通りキラキラした爽やかな楽曲であるこの曲を、オンユはしっかり自分のカラーにしていた。原曲を歌う小田和正は、ハスキーながらも透明感のある声色の持ち主だが、オンユと楽曲との親和性は、あまりにもピッタリだと、公開されてすぐにファンの間で話題になっていた。

 他の楽曲に関しても、彼がK-POP歌手であることを忘れてしまうほど、日本語の発音に違和感がない仕上がりになっている。どの曲も歌詞の意味を理解し、一語一語を大事にして歌唱しているように感じる。彼にとって、一つひとつの日本語を理解して歌うことは容易なことではない。しかし、どの言葉も日本のリスナーにしっかり響くのは、その言葉の意味を知ろうとし、伝えるように歌っているからだろう。

 そして、私たちに馴染みのあるJ-POPの曲を歌うことによって、彼の歌唱力の素晴らしさをより感じられる。一つとして音を外すことなく、正確に歌うオンユの歌には安心感があり、いつまでも繰り返し聴いていたくなるのだ。

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