ドミコ、ストイックな演奏が生む高い熱量 ライブバンドの真骨頂を見せたツアーセミファイナル東京公演

 演奏が終わったと同時に鳴り止まない拍手が送られ、そのままアンコールに突入してドミコの2人が再びステージに現れた。「なんていうか」「血を嫌い肉を好む」の2曲を届け、ステージの熱を取り戻して終了したと思いきや、この日は特別にダブルアンコールまで行われた。「何かをやりますのでちょっと待っててください」と長谷川が発した後、ステージ上には鋭児が登場。ドミコと鋭児の7人で、およそ10分弱に及ぶスペシャルなジャムセッションが行われた。演者はひたすらに音を奏でることを楽しみ、オーディエンスはその音を聴くことを楽しむ。言わずもがなの至極シンプルな出来事だが、それがこの上ない幸福な時間であったことは間違いない。演奏終了後にメンバー同士が肩を抱き合ったりハグをしたりするシーンを見たときは、思わず胸が熱くなった。

 終演後に時計を見ると、開演時間から120分後の20時ちょうどを指しており、まるでどこか異世界から戻ってきたような不思議な感覚に陥った。上記の流れのとおり、ドミコのライブには区切りがない。MCで近況を話すこともなければ、何の曲を披露するかといった前振りもないのだ。ライブを改めて振り返ることで、初めて全体像が見えてくる。ノンストップで音が奏でられる120分間。その場限りのセッション、ルーパーを魔術師のように駆使して奏でられるサウンド、ライブならではのアレンジ……と会場で奏でられる曲は、音源とは全くの別物だ。アルバムツアーといえど、彼らはリリースした曲をただ生演奏するだけではない。ツーピースという最小編成で変幻自在にサウンドを操るドミコこそが、ライブバンドの真骨頂なのではないかと思わされる一夜だった。

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