asmi迎えたTVアニメ『彼女、お借りします』EDテーマ「言えない」も話題 切ない青春感描くMIMiNARIとは?

 近年のポップミュージックのシーンを語る上で、ボカロカルチャー由来のクリエイター陣と、ネットをメインの活動拠点とする歌い手たちの動向は見逃せないものがある。Adoにしてもyamaにしても、その作品のセンセーショナルさは言うまでもないが、単純にボーカリストとして優れているし、従来の歌手にはなかった独特の佇まいやキャラクター性はエンターテインメント的で惹かれるものがある。そしてそれはそのまま歌の情感に繋がるものであって、彼らの有機的な活動は現代の音楽作品に多様性をもたらしていると言えるだろう。

 曲そのものに目を向けても、くじらや和ぬかといった新しい感覚を持った若手作家のクリエイティビティには毎回驚かされる。サブスク以降の情報速度感とでも言うべきか、鋭く時代のムードを切り取った言葉、あるいはメロディ〜リズムの、先鋭的でありながらなおかつ大衆性も備えているという絶妙なバランスの保ち方は、一介の職業作家には真似できないものがあるように思う。

 例えば、こうしたアーティストやクリエイターたちを束ねているMAISONdesの作品群がこのシーンを知る上で分かりやすい。

【103】[feat. EMA, たなか] ダンス・ダンス・ダダ / MAISONdes
【302】[feat. Tani Yuuki, 菅原圭] Cheers / MAISONdes
【102】[feat. 和ぬか, asmi] ヨワネハキ / MAISONdes

 いずれも今の若者の気分を反映しているし、そういう要素を抜きにしても楽曲単体として十分面白い。また、彼ら個人としても非常に魅力的なのは言わずもがな、こうしたコラボレーションによって新鮮な化学反応も起きている。そこから昨年TikTokで大ブームとなった「ヨワネハキ」のようなバイラルヒットが生まれていることからも、この界隈の活発な動きが現在の音楽シーンにとって無視できないファクトになっているとつくづく感じる。むしろ若い才能がこぞってこの界隈に集まっているとさえ思うのだ。

 さて、そうした状況のなかで、それらと同じシーンに属しながらも、確実にそれらとは一線を画すセンスを持ったアーティストが今年デビューしている。それがMIMiNARIだ。

 MIMiNARIは、コンポーザーのnariとshamを中心に「記憶を音楽にする」をテーマとした音楽プロジェクト。これまでに3曲を発表しており、いずれも異なる歌い手を迎えている。現時点での最新曲は、asmiをボーカルに迎えた「言えない」。この曲は7月1日よりオンエア中のTVアニメ『彼女、お借りします』(MBS・TBS系)の第2期エンディングテーマとして使用されており、現在じわじわと話題が広がっている。

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