Hey! Say! JUMPメンバー分析 第2回:伊野尾慧、つかみどころのなさが底知れぬ魅力に 努力を見せない信念
苦労していることを伝えたいとは思わない、伊野尾の美学
俳優としての活躍もめざましい。藤原竜也主演ドラマ『そして、誰もいなくなった』(日本テレビ系)で演じた謎多きバーテンダー・日下瑛治役は、物語が進むにつれ味方か敵か分からない難しい役柄を好演。また松岡昌宏(TOKIO)主演ドラマ『家政夫のミタゾノ』シリーズ(テレビ朝日系)では気の弱いお調子者の家政夫・村田光役がすっかり定着している。しかしドラマ『准教授・高槻彰良の推察』シリーズ(フジテレビ系)では一変、推理や考察が冴えるクールな高槻彰良役を熱演した。
筆者が伊野尾の役者としての力量を強く感じるのは、前述の『ミタゾノ』と『准教授・高槻彰良』での見事な演じ分けである。衣装の違いはあれ、大きくビジュアルを変化させていないにも関わらず、全く別人物として成立させており、違和感なく演じきっている。
しかし伊野尾は、出演作について「役作りに苦労した」「大変だった」という話をすることは非常に少なく、常に飄々と役に向き合っている印象だ。それは伊野尾自身の信念によるところが大きいように思う。
かつて雑誌『Myojo』の1万字インタビュー企画で「実は苦労してる。本当の姿を伝えたいとも思わない?」という問いに、「全然思わない」と断言した伊野尾。苦労や大変な経験は自分だけではない、と語っていたのである。自分の仕事は人を明るくさせる仕事であり、苦労した話をする気はないとコメント。努力や苦労は伊野尾のなかではごく当たり前のことで、取り立ててアピールすることではないということでもあるのだろう。
大人の男性として成長していくなかで、アイドルとして、俳優としてこれから彼がどのような新境地を見せてくれるのか、非常に楽しみである。「テキトー」「つかみどころがない」という隠れ蓑の陰から、クスッと笑ってこちらを見ている伊野尾がいるように感じる。私たちの知る伊野尾の魅力は、まだまだ氷山の一角なのかもしれない。