ヒトリエが証明するロックバンドの不屈の情熱 現体制3度目のリキッドルームで鳴らした3人の現在地

 楽屋で「リキッドルームで誰のライブを観たか」という話で盛り上がったと話し始めるシノダ。たくさんの“イカしたバンド”が立ったこのステージに、3人体制のヒトリエが立つのはこの2デイズで3回目だ。「1回目は3人になってすぐの時。もうわけがわからなかった。それまでは自分たちはリキッドルームに合うイカしたバンドだって思ってたけど、そう思えなかった。2回目のリキッドルームは客が誰一人いなかった。カメラしかいなかった。なんかイマイチだなって思っていた。今日で3回目です……誰か文句あるやつはいるか? 俺たちがリキッドルームに立っているこの姿に不満を感じるやつはいるかね? 俺は、最高だと思ってるけどね」。そんな言葉に大きな拍手が贈られる。「ちょっと時間はかかったけど、リキッドルームの似合うバンドになりました。ヒトリエです、どうぞよろしく」。その一言にすべての物語が集約され、ここからヒトリエの未来が始まるような感覚を覚えた。そうして演奏された本編最後の曲は、シノダの「僕たちのこれからの歌」という言葉とともに始まった「イメージ」。万感込めた弾き語りから、フルスケールのバンドサウンドへ。その展開が、まさにロックバンド誕生の瞬間のようだった。

 アンコールでは改めてこの延期公演まで待ち続けてくれたファンに感謝を述べつつ、ゆーまおを中心に恒例のグッズ紹介へ。先ほどまでの鬼気迫るようなパフォーマンスから一転、ゆるゆると会話する感じもまた彼ららしい。最新シングルである『風、花』、そして6月22日にリリースされるニューアルバム『PHARMACY』の告知をする。そして「っしゃあ!」と気合を入れ直したシノダ。「アンコールやらせていただきます!」と「終着点」をプレイすると、さらに「全力で受け止めろよ!」と「インパーフェクション」。最後まで盛り上げ切った。4人時代の楽曲も、3人で初めて作ったアルバム『REAMP』からの楽曲も、そしてその先で生まれた新しい曲たちも。つまりヒトリエのすべてを注ぎ込んだセットリストで繰り広げられたステージは、改めてロックバンドの不屈の情熱と、ここから始まる未来への期待を強く感じさせるものだった。

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