L'Arc-en-Ciel、ファンと守り続けた30年に感謝 歴史彩る名曲からレア曲まで飛び出した東京ドーム公演

 インターバルでは、スクリーンには宇宙空間が映し出され、そこを漂っていた巨大な飛行船がなんとドームに出現。hydeいわく、この飛行船は1999年リリースのアルバム『ark』のジャケットに描かれているもので、当時ノストラダムスの大予言から宇宙に逃げるために考案し、約23年越しにようやく今完成したのだという。時を越えて実体化した飛行船はドーム内を浮遊したあとアリーナ後方のサブステージ付近に着地。そして中からメンバーが再び登場し、観客たちを大いに驚かせた。

 サブステージに腰をかけながらリラックスした表情を見せるhydeがおもむろに傘をひらくのを合図に、数ある作品の中でもトップレベルのレア曲「Singin' in the Rain」のイントロが始まる。このサプライズの連続に観客たちは喜びが溢れ出し、客席で光る水色のライトもいつも以上に元気に弾んでいる。夕焼け空のようなオレンジと赤の光の中で「LOST HEAVEN」を披露した後は、観客たちがスマートフォンのライトでつくりあげた光の海の中を見つめ、「世の中は物騒なことになっていますが、こんなに綺麗な景色があるのにね。平和を願って」とメッセージを残してから、「星空」を披露。〈目覚めたら変わっていると良いな 争いの終わった世界へと〉という歌詞に、切実な祈りを乗せて歌い上げた。

 メンバーがメインステージに戻ると、ライヴはいよいよラストスパートへ。少しクールダウンした会場の空気を「FOREVER」で盛り上げ、インディーズ時代にリリースされたレア曲「予感」も披露。キラーチューンの「Blurry Eyes」曲間のブレイクではtetsuyaが「1回しか言わないから聞いて。ラルクを好きになってくれてありがとう!」と素直な気持ちをストレートに叫び、観客たちは「こちらこそ!」と言わんばかりの大きな拍手で応えていた。さらに「GOOD LUCK MY WAY」で未来に待つ希望を予感させながら、ラストへと駆け抜けていく。この日最後に披露されたのは、L'Arc-en-Cielの象徴でもある「虹」。ドーム全体を大きな七色の光が包み込み、幻想的な空間が広がる。その夢のような景色は、L'Arc-en-Cielを守り続けた4人とファンが作った奇跡を体現しているようにも感じた。

 最後にhydeは、客席の光を見つめながら「この光はただの光じゃなくて、一つひとつに背景があってここまで辿りついたんだよね。僕らもこの30年で色々な出来事があったけど、みんながいたからここまで辿りつけたと思います。連れてきてくれてありがとう」と語っていた。このライヴでL'Arc-en-Cielが贈ったたくさんのプレゼントには、30年間で積みあがったファンへの感謝の思いが込められていたに違いない。

 

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