稲垣吾郎を紐解く言葉:花、ワイン、ラジオ……アイドルの概念を更新し続ける秘訣とは
ラジオ:「話すことで自分を知ることができる」
歌手、俳優、バラエティタレント、MC……と、何足ものわらじを履く稲垣だが、ワインにも負けないライフワークとなっているのがラジオパーソナリティの仕事だ。初めてラジオのレギュラー番組を持ったのはデビュー前。放送スタイルやタイトルの変更など環境が移り変わりながらも、30年以上に渡ってラジオと接し続けてきた。
そして現在、稲垣が担当しているのが1991年の前身番組『STOP THE SMAP』から続く『編集長 稲垣吾郎』(文化放送)と、2019年に始まり稲垣にとって初のレギュラー生ワイド番組となる『THE TRAD』(TOKYO FM)。『編集長 稲垣吾郎』では「最近ハマっているサウナ」「隠れ中森明菜さんファン」「こだわりのドライヤー」など、近況や素顔を知ることができるのが嬉しい。
そして『THE TRAD』ではミュージシャンをはじめとした音楽に造詣のある面々をゲストに迎えてトークに花が咲く。かつて楽曲提供を受けたアーティストや憧れてきた作家、またよく知る草なぎ剛、香取慎吾をゲストに迎えたことも。音楽という語り甲斐のあるテーマ、そして会ってみたかった人とのトークということで、ついつい饒舌になる。
ラジオの稲垣は、テレビよりもおしゃべりが弾む。そんな印象を受ける人も少なくないはずだ。彼自身も「スタッフもリスナーの方も含めて家族という感じ」と分析しており、少人数のスタッフと馴染みのリスナーたちとの距離の近さがラジオの魅力であり、その距離感ゆえに初対面のゲストとのトークも弾み、趣味や関心が広がっているのを感じているという(※3)。
「“あ、自分ってこんなことを考えているんだな”とか、自分と対話ができますよね」とは、稲垣とラジオの良好な関係性を表わした言葉。語りかけ(アウトプット)ながら、自分を知る(インプット)ということ。確かなキャリアを誇りながらも、凝り固まることがない。稲垣が大人の落ち着きがありながら、どこかフレッシュさを持ち合わせている理由はここにあるのかもしれない。
花のように凛とした強さを持ち、ワインのように味わい深く、ラジオを通じて常にアップデートされていく魅力。改めて稲垣吾郎の言葉を紐解けば、彼がいかにしてアイドルから大人アイドルへとスムーズに移行することができたのかも頷ける。きっとこれからも彼はアイドルの概念を更新し続けるに違いない。そのときどきに語られる言葉は、稲垣のように穏やかに美しく人生を更新していきたいと願う、すべての人の心に響くことだろう。
※1:https://realsound.jp/2020/09/post-621922.html
※2:https://realsound.jp/2022/02/post-974638.html
※3:https://minpo.online/article/post-27.html