CeVIO AI『星界』は何がすごい? ヰ世界情緒&柊マグネタイトが考える、“音楽的同位体”シリーズの革新性
バーチャルシンガー・花譜らが所属し、CeVIO AIとのコラボレーションで作られたソフト“音楽的同位体”シリーズをリリースするなど様々な展開を見せるKAMITSUBAKI STUDIOが、4月29日・30日に幕張メッセで行われた『ニコニコ超会議2022』に出展。二日間に渡って『超音楽的同位体対談』と銘打ったイベントを行った。本稿ではDay1に行われたイベントの模様をレポートする。
KAMITSUBAKI STUDIO・音楽的同位体ブースでは、ソフトウェアの紹介映像や、アーティストのMVなどの映像コンテンツが映し出され、音楽的同位体『可不(KAFU)』や『星界』などのパネルが展示された。なかでも一番の注目を集めていたのは、本イベントでスターターパッケージが先行発売された音楽的同位体『星界』だ。KAMITSUBAKI STUDIO所属のバーチャルシンガー・ヰ世界情緒の音楽的同位体として誕生した人工歌唱ソフトウェア。発売前から多くの注目を集めていたこともあり、物販コーナーには『星界』をいち早く手にしたいファンやクリエイターが数多く訪れた。また4月30日の『VTuber Fes Japan 2022』に出演するV.W.Pらが、出演前の意気込みを語る特別映像も流され、常に注目を集めるブースの一つとなった。
ブースから溢れるほど多くの人が集ったこの日の対談イベントには、開発に携わったCeVIO AIプロジェクトの川出陽一氏、MC荒木美鈴氏が登壇。音楽的同位体のユーザーでもあるボカロクリエイターの柊マグネタイトと、『星界』に自身の声が使用されたバーチャルシンガーヰ世界情緒がリモートで参加した。
まずは音楽的同位体『星界』について、CeVIO AIはAIによって歌手の歌い方や癖を学習し、リアルな再現を可能とする技術であることが語られ、川出氏からは「元になった歌手、今回はヰ世界情緒さんの歌う時の発声のタイミング、どれくらい音を伸ばすかなどディープラーニングで学習している」とスライドを交えながら説明し、フリーハンドでピッチが描けるなど、クリエイターが頭に思い描いた音を直感的な操作性で再現できることを示した。
なかでも注目されたのは、「感情」という声質の設定機能だ。「大人びたり幼くしたりの調整ができるようになっている。今回(ボイスを提供した)ヰ世界情緒さんの歌唱の表現の幅が広かったので、特別に今回初めて感情表現をAIに学習させて、感情の上げ下げをクリエイターが自分で選べるようにしました」と語ると、会場に詰めかけた観客も興味津々の様子。「星界の場合、(感情を)上げるとかっこいい、力強い。下げると、かわいらしい。その両方の歌い方を選べるのが特徴」というリアルな歌唱表現に、柊氏も「歌に感情を乗せるというのはソフト上ではなかなか難しかった。ピッチ調整などで表現することはあったんですけど、元々のパラメーターとしてあるのはすごい」と感嘆した様子。
さらに実際にPCを操作しながら音を再生するデモンストレーションも行われた。同じ譜面でも、感情のパラメーターを上げ下げすることで表現に大きな違いが生まれ、その再現性に会場からも驚きのどよめきが起こる。さらに、見栄えが良くなった画面上での操作や、バージョンアップによって英語の歌詞が入力できるようになった点などの新機能も披露された。またMCの荒木氏が「『星界』、買ったよって方は?」と会場に呼びかけると、多くの人が手を挙げる。中には初めて音楽制作ソフトを手にする人も多数おり、ヰ世界情緒氏も「嬉しい!」と喜びの声をあげる。ファンの『星界』への期待感も明らかになり、CeVIO AIとV.W.Pとのコラボにより音楽制作への門戸が広がったことを登壇者一同が喜んだ。
前半最後には、実際に音楽的同位体によって作られた楽曲で、この日のゲストでもある柊マグネタイトのヒットチューン「マーシャル・マキシマイザー Feat.可不」のMVが披露された。