ジャニーズWESTメンバー分析 第3回:桐山照史、抜群の歌唱力とバラエティ力で牽引 繊細な演技にも定評

的確な分析を経て繊細に演じる役者としての才能

 そして、桐山を語る際に忘れてはならないのが、俳優としてのポテンシャルだ。関西ジャニーズJr.時代から『ビューティフル・サンデイ』など本格的な舞台や、ドラマ『流れ星』(フジテレビ系)、『真夜中のパン屋さん』(NHK BSプレミアム)で役者としての経験を積んだ。筆者が俳優としての桐山の可能性を感じたのは、ドラマ『ダーティ・ママ!』(日本テレビ系)の第6話で演じた畠山穰役だ。難しい役柄ながらセリフや立ち居振る舞いまで繊細に演じた姿から、俳優としての才能を感じたことを鮮明に覚えている。俳優・桐山照史としての知名度を全国区に押し上げたのは、NHK連続テレビ小説『あさが来た』の白岡榮三郎役だ。視聴者の多くは、芝居が達者なあまり“実力派の若手俳優”と思い込んでいた人も多く、SNSでは音楽番組でジャニーズのアイドルだと知ったという声も多く見受けられた。

 さらに、俳優として大きな成長を感じたのが九代目 松本幸四郎(現・二代目 松本白鸚)主演舞台『アマデウス』のモーツァルト役だ。ベテランの共演者とともに、これまで錚々たるキャストが演じてきたモーツァルト役というプレッシャーの中にあっても、見事に悲運のモーツァルトを演じきった。翌年には今井翼の代役という重責を背負い、フラメンコの習得も含め、満身創痍で挑んだ音楽劇『マリウス』での好演も記憶に新しい。2021年には単独初主演ドラマ『ゲキカラドウ』(テレビ東京系)を経て、2022年はドラマ『逃亡医F』(日本テレビ系)で主人公の後輩で気の弱い医師・長谷川輝彦役を演じた。SNSでも劇中いつも電話をしていることと、役名を重ねた“TEL彦”として話題を集めた。

 俳優としての桐山は役柄を的確に分析し、どのようなキャラクターであっても繊細に演じているように思う。2021年、夏目漱石の名作『坊ちゃん』を題材とした主演舞台『赤シャツ』でも、桐山は原作では嫌味なインテリのイメージの強い“赤シャツ”を悲哀も纏わせた人間味溢れるキャラクターとして演じた。声のトーン、仕草、立ち姿など指先まで神経の行き届いた演技ができるのは、桐山の天賦の才ではないだろうか。

 バラエティ番組での巧みな進行はメンバーから「テレビの人」とからかわれることも多い桐山だが、常にスタッフにまで配慮を忘れない気配りの人でもある。今後は人なつっこい性格を活かしたトーク番組のMCのほか、ダイビングのライセンス、プロ顔負けの特技・DIYなど新たな分野での活躍も期待したい。

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