春ねむりのパンクは“最も弱いものに最も優しい”ーーアルバム『春火燎原』収録曲も披露した日本凱旋ライブをレポート

 心揺さぶられる想いが連なるままに、ラストソングは最新曲「生きる」。オーディエンスの右腕が上がり、〈How beautiful life is!〉のフレーズがライブ空間に溶け合っていく。春ねむりは、決してあきらめない強き想いで、日常を塗り替えていく。

 「生きる」は、谷川俊太郎の詩「生きる」の一部が朗読で引用されている。傷つきながら歩んできた、春ねむりがたどり着いた新境地だ。耳に残るキャッチーさ、ポップソングとしての側面も垣間見られた。結果、楽曲は一人歩きし、音声検索アプリShazamでランキング上位に入るなど、新たなリスナーとの出会いが生まれている。

 あらためて言っておきたい。2ndフルアルバム『春火燎原』は、2022年の音楽シーンを代表する傑作だ。今こそ批評されるにふさわしきパワーある音楽作品であることは間違いない。

 ライブ終演後、多くの関係者が挨拶を希望する春ねむりだったが、一通りの挨拶後、対バンであったCIVILIANのライブを全力で楽しむ姿に、音楽愛を感じたことも記しておこう。

 次に、春ねむりを発見するのは、あなただ。

(※1)https://pitchfork.com/reviews/albums/haru-nemuri-shunka-ryougen/

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