香取慎吾、ジャズを取り入れた2ndアルバムがチャート好調 ポップスへの昇華から見える“アイドルの底力”

 また、フィーチャリングアーティストも本作の注目ポイント。WONK、ヒグチアイ、田島貴男、新しい学校のリーダーズなど、納得であり意外でもある才能たちが華を添えます。ことに、ヒグチアイが作詞作曲と歌唱でも参加するピアノバラード「ひとりきりのふたり」は名曲。真面目すぎて生きづらくなる心と向き合う歌詞はヒグチアイの真骨頂ですが、香取の声が柔らかくそれを包むことで、寂しさの中にも温かさが滲む一曲になりました。

 さらに、この曲に続いて始まるのはGentle Forest Jazz Bandをフィーチャリングした「シンゴペーション」。このビッグバンドについては、三谷幸喜×香取慎吾のタッグによるAmazon Prime Videoの配信ドラマ『誰かが、見ている』主題歌で覚えている人も多いはず。配信は2020年9月からだったので、あれが香取をジャズに向かわせた布石だったのかと納得します。

 唐突なジャズへの挑戦は、前述したように安易なイメチェンと結びつきがち。しかし、彼の中にはちゃんとヒントがあり、必然であったのでしょう。息ぴったりに進む本人歌唱とコーラス隊、間奏でソロを紹介する快活なMCなど、Gentle Forest Jazz Bandと香取慎吾だから生まれるグルーヴもいいですね。それにしても、「シンゴペーション」。なんてセンスでしょう。この曲に限らず、『東京SNG』は聴くだけで明るい気持ちになれるエンタメ系ジャズアルバムになっています。いやはや、アイドルの底力を見せてもらいました。

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