汐れいら、『オオカミちゃん』起用の話題曲がバイラルチャート首位に 多様な感情を吐露する変化自在の歌声
参照:https://spotifycharts.com/viral/jp/weekly/latest
Spotifyの「バイラルトップ50(日本)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top 50チャート」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたプレイリスト。同チャートを1週間分集計した数値の今週分(4月14日公開:4月7日~4月13日集計分)のTOP10は以下の通り。
1位:汐れいら「センチメンタル・キス – Acoustic ver.」
2位:BE:FIRST「Bye-Good-Bye」
3位:池田智子 × TENDRE「水星 × 今夜はブギー・バック nice vocal」
4位:Kim Taeri, Nam Joohyuk, Bona(WJSN), Choi Hyunwook, Lee Joomyung「With」
5位:INI「CALL 119」
6位:RYKEYDADDYDIRTY「ALL GODS BLESS ME」
7位:XG「Tippy Toes」
8位:Emetsound「Earth Defense Force」
9位:femme fatale「だいしきゅーだいしゅき」
10位:Klang Ruler「タイミング ~Timing~」
今週は1位の汐れいら「センチメンタル・キス – Acoustic ver.」を取り上げる。3月14日に3rdデジタルシングルとしてリリースされた本曲は、ABEMAの恋愛リアリティーショー『オオカミ』シリーズの最新作『彼とオオカミちゃんには騙されない』のBGMに起用され注目を集め、Spotifyバイラルチャートでも好調なアクションを見せている。4月4日にデイリーチャート10位に初登場して以降、着実に順位を上げ、先週のウィークリーチャートでは4位にランクイン。今週ついにトップを飾った。
汐れいらは、現在、20歳のシンガーソングライター。16歳の頃にオリジナル楽曲を作る楽しさを知ってから、全曲の作詞・作曲を手掛けている。2021年にデビューし、都内を中心に路上ライブやイベントライブを続けながら、楽曲作りを行っている。現在、Spotifyで聴くことができる曲は、デビューデジタルシングル「さよならCITY」、2ndデジタルシングル「ビーボーイ」、そして今週のウィークリーチャートで1位となった「センチメンタル・キス – Acoustic ver.」の3曲だが、オフィシャルYouTubeでは前述した3曲の他に、オリジナル曲を8曲発表している。
これらの曲を聴いてまず驚くのは、変化自在の歌声だ。声質そのものは大衆性があり、万人の耳にスッと入って来る声でありながら“歌い方”で個性を発揮している。YouTubeで公開されている動画はアコースティックギターの弾き語りが多いゆえ、歌声が印象に残るのは当然のことだが、フレーズ最初の絶妙なクレッシェンド、フレーズ最後の母音の抜き方、母音の独特のビブラートなど、次に何が出てくるかわからない刺激的な歌い方をする。中でも特筆すべきは母音の抜き方で、時に吐息のように、また時には囁くように、諦めるように、言い切るようにと、実にいろいろなニュアンスで、切実さ、希望、寂しさ、優しさ、強さなど、様々な感情が聴こえてくる。逆にロングトーンではあまり抑揚をつけずに、伸びやかに同じ音量で歌うなど、既存の“歌うま”のパターンにはまらない斬新さがある。高音の中に一音だけファルセットを持ってくるなど、ボーカルとしてのスキルも十分だが、狙ってやっているのではないだろう。そう思うのは、メロディと言葉、歌がどんぴしゃでマッチし、演出感が微塵も感じられないからだ。