NOAがデビュー2年で遂げためざましい飛躍 音楽に宿る、逆境をポジティブな方向へ誘導する“チア精神”

 連日の寒さに代わって春の陽気がじんわりと兆しを見せる中、今年も新年度が始まった。まっさらな環境や人間関係に思い切り胸を膨らませたい一方で、慣れないことが続きふと、言いようのない不安に立ち止まってしまう……といったメランコリックな経験に悩まされる人も、きっと少なくはないだろう。

 そんな時に打って付けのカンフル剤となりそうなのが、日本語、英語、韓国語を操るトリリンガル、NOAの音楽だ。韓国の大手事務所YGで日本人初の練習生としてレッスンを重ねたNOAは、逆輸入に等しい形で2020年に日本でデビュー。歌やダンスはもちろんのこと、楽曲制作やYouTube活動に至るまでアクティブにこなし、Z世代きってのオールラウンダーとしてわずか2年の間に目覚ましい飛躍を遂げてきた。

 「辛い時に頑張るようにするには僕のことを考えてください」(※1)これは、先日行われた自身初となるファンミーティングで、NOAがオーディエンスに向けて送った言葉である。 実際に筆者が昨年NOAを取材をした際にも、彼は自身の音楽を何らかの解決策に使ってほしい思いを述べていた(※2)。逆境に直面したリスナーを慰め、ポジティブな方向へ誘導することこそがNOAの大きな原動力になっているーーそう確信した瞬間、筆者はいたく感心せずにはいられなかった。

NOA - True Colors【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

 この春送り出された二つのシングルは、まさしくNOAが他者に向けて抱き続けてきたチア精神の昇華であり、万人がおのずから奮い立たせられる秀逸な作りとなっている。まず紹介するのは、3月にリリースされた「True Colors」。〈Show me your true colors(君の本当の色を見せてよ)/もうすでに君は輝いているから〉と、人それぞれの個性を明るく肯定するポップチューンだ。「LET GO feat. JEON WOONG (AB6IX)」や「Highway」など、これまでにもポジティブなモードをサウンドとリリックでストレートに謳歌した楽曲は存在したが、本作は低〜中音域を主体としてきたNOAにしては珍しくファルセットの使用率が高く、先述したような背中を押すメッセージがいっそうの軽やかさを伴って聴こえてくる。

 また、冒頭とエンディングにはラップ調のパートが採用され、NOAが備えるクールな側面についても申し分ないエネルギーで補強。それどころか、両パートの内容がネガティブ/ポジティブの対になっていることで、浮かない顔の主人公が晴れやかな気分にシフトしていくプロセスを享受しやすい構造になっている。そういう意味でも、何とも粋なポップネスを携えた一曲である。

 ちなみに「True Colors」は、NOAがブランドアンバサダーに就任した「リーゼ」の公式SNS企画「OURCOLORZ MAGAZINE」に使用されているほか、同ブランドのCMやイメージビジュアルにはNOA本人も出演を果たしている。俳優顔負けのビジュアルを生かした彼の颯爽とした佇まいにも元気をもらうこと請け合いだ。

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