夢見る少女から大人の女性へ NMB48 梅山恋和が飾ったアイドルとしての有終の美
“梅山本”が一夜限りで奇跡の復活
明るいムードで進んだ梅山の卒業コンサートで、ふたつのビッグなサプライズがあった。
まず「太陽が坂道を昇る頃」で、2018年3月にグループを卒業した溝川実来が登場したところ。梅山とは同期で、仲が良すぎるあまりケンカも多かったそうで「生配信中に恋和ちゃんとボクシングをしてしまい、私が一方的にやりすぎてキレられた」と懐かしそうに振り返った。
もうひとつが「だってだってだって」のパフォーマンス時、2021年3月にグループを卒業した山本彩加が現れた場面。梅山と山本は同曲でダブルセンターをつとめており、“梅山本”の通称で人気に。同コンビの奇跡の復活に会場内がどよめいた。山本は「1年ぶりに歓声を聞いちゃいましたね。(梅山から)卒業コンサートに出て欲しいと言ってもらって、こうして来させていただきました。セットリストを見たとき、恋和が最後にやりたいことをギュッと詰め込んでいると思った」と話すと、梅山も「まさか出演してくれるとは」と最後の共演を喜んだ。
そのほか、元メンバー・渡辺美優紀の代表曲「わるきー」の恋和バージョン「わるここ」や、上西とダブルセンターを担った26thシングル曲「恋と愛のその間には」などを披露。「おNEWの上履き」では、お地蔵さんや、人気アニメキャラのコスプレをするお茶目な梅山の様子がスクリーンに映し出され、会場を盛り上げた。
また、アンコール前には加入時のあどけない梅山の記録映像が流れた。「受かったらどうしよう、落ちたらお母さんになんて言おう」とオーディションで戸惑うところや、「私が『恋のおまじない』と言ったら、『557(ゴーゴーセブン/ここな)』と言ってください」と自己紹介の説明をするシーン、またレッスン時「なんでそんなに(他の)人を見るの? 自分を見ていない。本当にセンターになりたいのか。もったいなさすぎる」と怒られる姿など、前に出られなかった頃の彼女の葛藤がそこにはあった。
そうやって周囲の反応ばかりうかがっていた梅山が「私は一番という言葉が好き」と言えるまでになった。そして2022年1月に「自分が成長するために、次のステップに進まなきゃ」と卒業を発表。彼女がアイドル人生でどれだけ成長できたか、それが伝わる記録映像だった。
ウエディングドレス風の衣装で第2の人生へ
アンコールでは、白のウェディングドレス風の衣装で登場した梅山。「約6年前、私の卒業コンサートを開催させていただけるなんて思ってもみませんでした。ダンスや歌、笑顔さえぎこちなくて、同期が前に進んでいたけど自分は端っこのポジションでした。公演の初日メンバーにも選ばれず、悔しくて泣いてばかりの自分が嫌いでした。でも、ファンのみなさんが期待して待っていてくれたから、ここまで諦めずに頑張れました」と感謝を述べた。
「ここまで頑張った分、必ず明るい未来が待っているはず。自分を信じて第2の人生を頑張りたい。NMB48は私の青春でした。アイドルになれて幸せでした」と力強く語り、こみあげるものをこらえるように「秘密日記」などを歌唱。
一方で梅山に手紙を書いてきたという上西がその内容を読み上げ、「恋和のライバルになれたかな?」と問いかけた際「な、なれた!」と妙な間合いで返事をするなど、梅山らしいほんわかした雰囲気でしんみりムードを吹き飛ばす一幕も。アンコール「大声ダイヤモンド」、ダブルアンコール「落とし穴」を目いっぱい歌いきり、アイドルとしての有終の美を飾った。