Suchmos TAIKING、強力なサポートメンバーとともに迎えた初ソロライブ 新曲や「STAY TUNE」も披露

 2022年2月26日、Suchmosのギタリスト・TAIKINGが、自身のソロ活動における初ライブ『Feel So Easy』を開催した。今回は、渋谷CLUB QUATTROで開催された同公演の模様をレポートしていく。

 2021年にSuchmosが活動休止に入って以降、TAIKINGは、藤井 風やRADWIMPSをはじめとした数々のアーティストのライブにサポートギタリストとして参加しながら、精力的に自身のソロワークスの制作と発表を並行して続けてきた。ライブ活動については、昨年の夏から秋にかけてのフェス出演や主催イベント『CONNECTION FES 2021』の開催がコロナの影響で見送りとなってしまった経緯もあり、ソロとしてステージに立つのは今回が初となる。そんな彼の初ステージを支えるのは、OKAMOTO'Sのオカモトコウキ(Gt)、パジャマで海なんかいかないのまきやま はる菜(Ba)、SANABAGUN.の大樋祐大(Key)、黒猫チェルシーの岡本啓佑(Dr)という強力なメンバーだ。深い信頼によって結ばれたメンバーたちと共に、ついにTAIKINGがフロントマンとしてステージに立つ。

 「よろしくお願いします」という力強い言葉と共に披露されたのは、1stシングル「Easy」だ。リリース当時、初めてこの楽曲を聴いた時は、このピースフルなバイブスと、丁寧に伝えられていく温かな歌心に驚かされた。しかし、やはりこれこそがTAIKINGのソロ活動のコアであることを、彼の歌う姿を見て改めて確信した。張り詰めた緊張感を伝えるナンバーが多いSuchmosの楽曲群とは異なり、ラフでポジティブなフィーリングを伝えていく5人のパフォーマンスは、まさに、今回のライブタイトル『Feel So Easy』を軽やかに体現するものであったと思う。アウトロにおけるTAIKINGのギターソロも、ライブ冒頭とは思えないほどに見事に冴えわたっていた。

 一転して、「VOICE」のイントロにおける高らかな熱を帯びたギタープレイが、じわじわとフロアの温度を上げていく。Suchmosのステージにおけるプレイを彷彿とさせるギターリフが印象的ではあるが、やはりライブを通して感じたのは、彼自身がボーカルをとることで楽曲全体の印象が大きく変わったものになるということだ。こうしたマイナー調の楽曲であったとしても、彼の歌声は温かな包容力を放つように響いていた。

 そして驚くべきことに、現時点で未発表の新曲「A Walk」と「Sunshine」が立て続けに披露された。2021年12月のインタビューにおいて、「実は曲のストックはまだまだアルバム2枚分くらいある」という発言があった(※1)が、今回そうした未発表の楽曲が続々と披露される形となった。両曲とも、煌びやかなバンドアンサンブルと清廉な歌メロが心地良く、未発表曲とは思えないほどにポップな浸透力を誇っていたように思う。そして5曲目の「Present」を経て、3つ目の未発表曲「BET」へ。重く歪んだギターが轟く同曲は、先述の新曲2曲とはガラッと異なるテイストであり、こうした多様な新曲の数々は、今後の活動への期待を膨らませてくれる。

 ライブ後半においては、1st EP「RAFT」と2nd EP「CAPE」から「FIRE」「Humming Birds」「Space Traveler」「SPOT LIGHT」が披露されていく。2021年8月に初のソロ楽曲をリリースして以降、こうした数々の楽曲を通して、「Suchmosのギタリスト」とは異なるTAIKINGの一面が次々と明かされてきた。その中でも特に、優しくて伸びやかな歌声を誇るシンガーとしての一面が全編にわたって光っていたように思う。また一方で、そうしたシンガーソングライターとしての側面と同じように顕著に表れていたのが、やはりと言うべきか、彼のギタリストとしての確固たるアイデンティティである。各曲の随所に挟み込まれるオカモトコウキとの掛け合い、そして2人でユニゾンのフレーズを弾く時の楽しそうな表情がとても印象的だった。さらに本編最後に披露された「SPOT LIGHT」の終盤、自らのほとばしる感情をギターを弾き倒しながら伝えていくソロパートは圧巻であった。そうした無邪気なギタープレイの数々を通して、今まで見たことのなかったTAIKINGの等身大の姿を初めて知ることができたような気分だ。

関連記事