7人組ガールズグループ XG、群雄割拠のシーンに一石投じるか? 5年前のプロジェクト始動からデビュー決定までの軌跡

約5年間、激しいトレーニングを積んできたXG

XG - Dance Performance #1

 XGの注目のきっかけとなったのが、今年1月~2月にかけてYouTube上で公開された彼女たちのパフォーマンス動画の数々である。一番手に公開されたグループダンスパフォーマンス動画では、ラッパーO.T. Genasisの「Everybody mad」を大胆にロックアレンジしたトラックにのせ、マスクで顔を覆いストリートギャング風の衣装に身を包んだ彼女たちが踊る姿が映し出されている。

 この動画のクレジットを参照すると、「Performance Director: Hyojin Choi」「Special Thanks to The Lab」とある。Hyojin Choiは、昨年韓国で放送されたダンサーによるサバイバルオーディション番組『Street Woman Fighter』の出演者として知られる人気ダンサー、そしてThe LabはBTSやBLACKPINKなどの作品参加で知られるアメリカのクリエイティブスタジオのことだろう。どうやら錚々たる面子が製作に携わっているようだが、動画の演出もBLACKPINKや韓国の名門ダンススタジオ1MILLION DANCE STUDIOのパフォーマンス映像を彷彿とさせる質感だ。

XG - Dance Performance (Solo Dance Compilation)
XG - Dance Performance #2

 さらに目を引かれるのは、このコンテンツ内でメンバーがみせるパフォーマンスの様相である。グループダンス動画では、K-POPシーンでひとつの主流となる“カルグンム”的な一糸乱れぬピッタリ揃った集団演舞を見せていた彼女たちが、ソロダンス動画では一人ひとりそれぞれの個性を魅せつけている。各々のダンススタイルの差別化がいとも自然に打ち出されているあたりは、メンバーのバックボーンや個性に興味を惹くポイントだ。

XG - Vocal Performance (Peaches Remix)

 またダンスだけでなく、ボーカルやラップ技術の高さにも驚かされる。メンバーのCHISAとJURIAによる「XG – Vocal Performance (Peaches Remix)」ボーカルパフォーマンス動画では、ジャスティン・ビーバーによる原曲をメロウなR&Bサウンドにアレンジしたトラックに乗せ、ディレイ気味にノリながらナチュラルな声音でメロディを織りなしていく二人のボーカルが耳に心地良い。YouTubeのコメント欄を確認したところ「英語の発音や歌い方からして、彼女たちは欧米圏出身なのではないか」と推測する書き込みも見受けられたほどだ。

XG - Rap Performance (Chill Bill Remix)

 そしてJURINとHARVEYによるラップパフォーマンス動画では、立ち上がりのいい声に粘度の強いライミングを披露するJURINと、キュートな声色にスムースなライミングが特徴のHARVEYによるかけ合いが聴き手のテンションを高めていく。ロブ・ストーン「Chill Bill ft. J.Davis & Spook」のゴリゴリなビートに乗せ展開されていくオリジナルリリックの端々に、日本語のリリックが聴こえてくるのもインパクトが大きい。

 こちらの動画には「アンダーグラウンドのラッパー風情」「この才能ある女の子たちからYG(2NE1やBLACKPINKなどを輩出した韓国の大手芸能事務所)のヴァイブが感じられる」といった反応が寄せられている。

 パフォーマンス動画からうかがえる仕上がり、豪華な製作陣のバックアップ、何より本人たちのパフォーマンスそのものに映し出される多彩な魅力や確かな技術は、このグループの全貌をよりミステリアスにしている。こういった要素が、トランスナショナルに協働するカルチャーシーンの動きに慣れ親しんだ層の関心を高めているのかもしれない。

 さらに、XGのデビュー発表時には、新たな動画が追加公開された。

 「XG - The Journey (2017-2022)」と冠されたこの動画には、タイトルどおり2017年から現在まで約5年間の成長記録が収められている。これまで非公開であった彼女たちの前日譚、約5年間の厳しいトレーニングが明かされる貴重な内容と言える。

 大型新人が数々誕生し「ガールズグループ豊作の年」とも言われる2022年。そんななかでも、この“なにも分からないけど、なにやらすごいことだけは分かる”とも言うべきXGのフレッシュながら、その貫禄には否応なしに胸が高まる。3月のデビューではどんな楽曲を届けてくれるのか、今後の続報が待ち遠しい。

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