「プロトスター」インタビュー

nowisee、未来を予見した革新的バンドが現代で鳴らす音楽 1st Periodから再始動に至ったバックストーリー

nowiseeの革新的活動が“当たり前”になった現在

ーー音楽から生まれる物語は、IP(知的財産権)のプロットとなる。そこから広がっていく可能性は無限大ですよね。昨今、匿名アーティストがトレンドな時代となりました。nowiseeは、それこそ早かったと思いますが、今の音楽シーンをどう思いますか?

Minimum Root:当時は、nowiseeを革新的なイメージを持ってやっていたんです。世の中にないものをやろうという。今、2022年は“ある”時代になりましたよね。当時やっていた、アニメーション主題で姿を出さないアーティストも増えたし。でも、それって日本のお家芸なんですよ。世界へ通じるひとつの突破口となるコンテンツであり、音楽との融合は誰しもが考えることではありますよね。当時、クロスコンテンツで可能性を探っていたのですが、今の時代でやりたいと思ったのはより音楽に特化して集中しているイメージです。自分たちの基本にある、音楽で何を表現したいかに立ち返っているのかもしれません。

ーーそういえば、モーションジャケットも早い段階でやられていましたよね?

Minimum Root:おそらく日本で一番最初に、Apple Musicのモーションジャケットを採用しました。

Strange Octave:アートワークが動いていて驚きました(笑)。

ーー2021年5月、nowiseeはバーチャルライブイベント『YouMakeShibuya VIRTUAL MUSIC LIVE』で復活されたそうですが、当日はどんなライブだったのでしょうか?

Minimum Root:ビジュアルを手がける残酷toneと、どんな方向にしようかと相談していて。でも、ボーカルのStrange Octaveに相談していい返事をもらったのが、実はイベントの10日前で(苦笑)。1週間前にライブをやりますって言っても、僕らは大人じゃないですか? バンドメンバーはみんな当然のように他の仕事も入っている。じゃあ、残酷toneがVJでStrange Octaveが登場するプランで提案したら、残酷toneもステージに立たないということになって。最終的に、Strange Octaveだけ後ろから逆光で照明を当ててシルエットで登場して、僕と残酷toneは見えないところでプレイしました(笑)。

Strange Octave:3曲やりました。

Minimum Root:キー的にきつい曲ばっかりで。よく頑張ったなって。そのライブで、けっこう見えたというか、nowiseeをもう一度やれるなって。

Strange Octave:会場がclusterというVR空間だったんです。

ーー日本発のメタバースとして有名ですよね。

Strange Octave:渋谷という都市をバーチャル化して、地下にあるライブハウスでライブをVR体感できるイベントでした。1st Periodからのファンが集まってくれて、バーチャル空間でコミュニケーションをとっていたり、ああ、なんかみんな待っていてくれたんだなって。

Minimum Root:それがきっかけで、nowiseeがVRでの交流やメタバースに合うことに気がついたんです。

ーーゆくゆくは外部で作ったアバターを自由にVR空間で使うことができるようになるらしいですね。

Minimum Root:そうそう。よりコミュニケーションしやすくなりますね。

ーーそうすると様々なVR空間を横断して楽しめるようになると、まさにメタバースというか、いろんなライブハウスやフェスに気軽に遊びに行けるような感覚で楽しそうですね。

Minimum Root:きっかけとして大きかったんですよ。

Strange Octave:夢が広がりますよね。

ーー2月8日には、2nd Period第7弾配信シングル「プロトスター」をリリースします。これがまた、よくできた曲で。楽曲テーマは“別れ”と“新たな始まり”だそうですが、どんなきっかけから生まれた曲なんですか? 

Strange Octave:歌詞は、音楽の道で夢を追いかけて切磋琢磨しているバンドマンを描いています。

ーーしかも、nowiseeとしては珍しく具体的な歌詞描写で。

Strange Octave:もともとは、バンドマンだけではなくて広い層へ届く曲にしたいねって話していたんです。リリースが2月の曲だから、出会いや別れをモチーフにしようとも話していて。でも、わたし自身が“これからの出会いに胸がときめく!”とか“新しいスタートだぜヒャッホー!”みたいなタイプではなくって(苦笑)。どちらかというと、別れをきっかけに、相手の大切さに気づくというか。それで、真っ先に浮かんだのが、わたしが音楽を通じて出会ってきた人たちだったんです。

 “はじめてライブへ行ったのは誰のライブで、誰と一緒に行ったんだっけ”とか。“はじめて書いた曲は、かっこいい風の言葉を連ねただけの曲で、恥ずかしいことしていたな”とか(苦笑)。“はじめて買った楽器はあのお店で店員さんと仲良くなったよな”、とか。歌詞にもあるんですけど“ライブが終わって、失敗やハプニングだらけだったけれど、仲間達とライブすること自体が楽しくって、打ち上げして朝まで呑んで、朝帰りの電車に乗ってふと我に返って、このまま音楽やってていいのかな”って悩んだりして。そんないろんなことを思い返して、だったら無理して広いところに届くような言葉で歌詞を作り変えるよりも、まっすぐ形にしてみたいって思ったのが「プロトスター」なんです。

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