SHIROSE(WHITE JAM)に聞く、攻めた表現を貫く理由 「たった一部分を10年後も覚えているような曲にしたい」
生き残るためにも必要不可欠なフレーズの強さ
ーーSHIROSEさんの曲は海外の方にも聴かれていますよね。
SHIROSE:そうですね。特に「Tattoo」と「Romeo & Juliet &」という曲は、サブスクやYouTubeを解析すると、実は今一番聴いてくれているのはインドネシアとブラジルの人なんですよ。だから、本当にいよいよ国境を越えていく時代なんだなと。コメントを見ていると「ボーカルがアメージングだね」とか「こういう音楽は私の国にはない」とか「作り方教えて」とかいろいろあって。海外の人が聴いた時には、まず曲ではなくボーカル力を評価してくれていることが多いです。自分の根元には「ボーカルアルバムを作りたい」という思いが昔からずっとあるので、嬉しいことですね。
ーーSHIROSEさんは作曲や編曲に携わる楽曲も多いですが、サウンド面でも制作において自由になったと感じることは多いですか?
SHIROSE:サウンドでいろいろな表現をしやすくなったのは、K-POPが入ってきてからです。2010年に少女時代とかBIGBANGが日本でデビューしたんですけど、それまでの日本のトップチャートは1位から50位まで歌謡曲的な構成の曲ばかりでした。唯一Bメロがない音楽は安室奈美恵さんぐらいでしたね。K-POPが入ってきてから歌謡曲的な構成の曲でなくてもみんなが普通に聴けるようになってきて。そこからちょっとずつコードの使い方のバリエーションが増えたり、Bメロがない曲が出てきたりしたと思うんです。特に少女時代「Gee」、嵐「Love Rainbow」、EXILE「Rising Sun」、この3曲がJ-POPシーンにもたらした影響は半端ない。K-POPが入ってきたタイミングと、その後のサブスクが入ってきたタイミングでJ-POPの尺に対する考え方はだいぶ変わりましたね。構成やストラクチャーが、歌謡曲ではなくても大丈夫な設計が作られた最初の曲なので。ちなみにイギリスに行った時にEXILE「Rising Sun」を書いたセバスチャン・ソットという作曲家から、「あの曲はシロセの曲の設計を参考にしたよ」と言ってもらえたことがあって、嬉しかったし悔しかったです。さっきお話した言葉の設計や、展開の設計もそうですが、もっと新しくて自由なルールを作れるように頑張ります。
ーーBメロがなくなりサウンドやメロディの形式が自由になったことが歌詞に与える影響はありますか。
SHIROSE:Bメロがなくなる=構成が1つ減るので、やはり表現の難易度は高くなったと思います。日本語って「つきましては」みたいなことが大事とされるじゃないですか。回りくどい表現が大事だったり、なにかをする時もまずなぜそれをするのか説明してからその物事をする。日本的な思考回路の順番があるんですけど、1つ構成が減るということは説明なしで想像させないといけないので、ワードの強さが要ると思うんですよね。そういう強いフレーズを思いつけないと、今後より生き残っていけないところにくると思いますね。
ーー最後に8周年を迎えたばかりのWHITE JAMについても聞かせてください。
SHIROSE:僕たちはもともと3人ともシンガーソングライターなので新しいことをそれぞれ試しあえて、すごく楽しいです。で、また僕たちがアルバムを作るとアーティストの方から「あのアルバムの○曲目っぽい曲を作って欲しい」というオーダーが来たりするので、それもありがたいことですね。今は「『Tattoo』のような曲を作って欲しい」というお話が多い時期なので、ああいった曲調をどんなアーティストが歌うのか期待していて欲しいです。
WHITE JAMは3人組ですが、3という数字が持っているパワーを毎年改めて感じています。3人で1つのものを表現するのって結構奥深くて。3って1対2でも3、1+2でも3、1と1と1でも3。僕たちは1人がラッパーで、1人が男性ボーカル、1人が女性ボーカルなんですけど、センターが変わるだけでも全く違う色の音楽が作れたりする。その大喜利みたいなことを一生やれるんですよね。3の数字って最強の素数というか、自分がWHITE JAMの音楽に惚れた理由なのかなと毎年思わされています。元々3人ともソロのソングライターだから、本来なら一つのお皿に載るような3つの食材ではないんです。結成当初は周りからいろいろ言われることもありましたけど、3人ともこの3の数字が持っている可能性に惚れてやってるんだなって。毎回新しいものが作れるので、とにかく曲を作るのが楽しいんですよ。それでその音楽を聴いて、またそういう曲を作ってくださいと他のアーティストの方が言ってくれたりもする。WHITE JAMの活動は僕らのできることが詰まった一つのカタログみたいな感じですね。これからもどんどん新しいものを作っていきたいです。
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■WHITE JAM オフィシャルサイト
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