二宮和也が明かした独自の創作スタイル 「虹」などから感じる圧倒的な共感性と独創性

 嵐の二宮和也が、ラジオ『BAY STORM』(bayfm)1月23日放送回にて自身の音楽作りのスタイルについて語った。

 きっかけは、リスナーから届いた「二宮くんは何かいいアイデアが浮かんだときは、どのようにして覚えていますか?」という質問からだった。二宮は日頃、携帯のメモ機能を活用していると回答。ときには、自動で文字を書き起こしてくれるボイスメモも用いて、アイデアが消えないように努めていることを明かす。

 一方で携帯を持っていない場合には「忘れちゃったら“それまでのクオリティだったんだ”って諦めるようにしています。それでも覚えていたら……みたいなことありますもん」と続ける。特に歌を作っているときには「1回あえて放牧して次の日まで覚えてたら“割といいメロディだったんだ”っていうか、“自分が好きなメロディだったんだな”って」とも。

 また、歌詞についても人生のやりきれなさや“あるある”を突くようなフレーズを入れていきたいと語り、「そこまで瞬間的に降りてきた言葉って、方向性だけ間違ってなければ後でやればいいやって思っちゃうから。書ききれないときは、無理やり(メモに)残すとかあんまりないかな」と語った。

 いいものであれば、自然と残っていく。あえて寝かせることで、表現したいものの本質が抽出されていく……その創作スタイルに、二宮がクレバーな人であることを再認識させられるような気がした。

 これまで二宮が手掛けたソロ楽曲の中でも、ひときわ人気を博しているのが「虹」だ。この曲を例に挙げても、二宮の創作スタイルを実感することができる。「虹」で歌われているのは、拗ねると大事なものをいつも同じ場所に隠してしまう“きみ”と、それを知って先回りしてみせる“私”の日常風景。

嵐(二宮和也)- 虹

 相手を困らせて愛情をはかるような子どもっぽい振る舞いに、少し呆れながらも愛しく思う。このやり取りだけを抽出すれば、恋人同士のみならず、甘えたい盛りの親子関係にも、友だち同士のじゃれ合いにも、ペットの飼い主へのコミュニケーションにも通じるものがありそうだ。

 誰かが誰かに愛されたいと願ったとき、自然と出てしまうもの。それくらい不変的で、共鳴しやすい描写を歌詞に盛り込むことで、この歌が紡ぐストーリーを知らないカップルのもので終わらせることなく、聴く人の中にある何かとリンクさせていくのだ。

 そんな多くの人の心に届きやすい歌詞に対して、作曲を手がけた多田慎也によるメロディは「虹」ならではのものを感じさせるから不思議だ。決して奇をてらったようなリズムや旋律ではない。むしろ終盤は〈la…la…la…〉とハミングで表現するほどシンプルで明快。しかしだからこそ、「虹」はいつまでも頭の中に残り続ける。この“共感性”と“独創性”のバランスこそが、二宮の楽曲が本質的に聴く者の心を掴む理由なのだろう。

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