安室奈美恵、V6、Da-iCE、I Don't Like Mondays. ……『ONE PIECE』歴代主題歌に溢れるアーティストの原作愛
1997年に『週刊少年ジャンプ』で連載が始まった尾田栄一郎の漫画 『ONE PIECE』は、瞬く間に読者から熱い支持を獲得し、今や日本が世界に誇る漫画作品の一つとなった。王道の冒険活劇を次々と世に送り出してきたジャンプの歴史においても、これほどまでに長く愛され続けている作品は稀で、これから先も、いくつもの世代を超えて読み継がれていく作品になることは間違いないだろう。(なお、『ONE PIECE』の物語は、すでにクライマックスに向かっていることが示唆されており、この壮大な物語の終幕を迎える日は刻一刻と迫っている。毎週、胸の高まりを抑えきれずにいる原作ファンは非常に多いはずだ)
そして、漫画の連載と同じように大きな支持を得ているのが、1999年から放送開始したアニメシリーズだ。原作の連載とほぼ並行する形で、20年以上にわたってルフィたちの冒険を描き続けてきた同シリーズは、いくつもの劇場版の公開を挟みながら、今もなお国民的アニメ作品として支持を集め続けている。そして、『ONE PIECE』のアニメにおいて非常に大きな役割を果たしているのが、作品を彩る主題歌であり、きただにひろしの「ウィーアー!」をはじめ、この枠から時代を象徴するアニメソングも次々と生まれている。今回は、これまで数々のアーティストが手掛けてきた『ONE PIECE』の主題歌の歴史について振り返っていきたい。
『ONE PIECE』の主題歌といえば、真っ先に、きただにひろしが歌う楽曲「ウィーアー!」や「ウィーゴー!」を思い浮かべる人が多いかもしれない。しかし、彼のようなアニメソングを中心に手掛ける歌手が主題歌を担当する一方で、同時に、J-POPシーンの最前線で活躍するアーティストが主題歌を手掛ける流れも存在している。
例えば、安室奈美恵は「Fight Together」「Hope」の2曲をオープニング曲として提供している。〈さあ始めよう 新しい世界が呼んでいる〉という「Fight Together」のサビの言葉は、物語における「新世界」(2年後に再会を果たした麦わら海賊団が冒険するグランドライン後半の海)と重なり合っているように思える。仲間たちとの絆こそが希望となると歌う「Hope」も、『ONE PIECE』が長きにわたって伝え続けているメッセージと深く通じ合っている。
また、2018年からは、V6の「Super Powers」がオープニング曲となったことが印象に残っている人も多いだろう。歌詞の中には、「冒険」や「宝物」といった『ONE PIECE』を象徴する言葉が散りばめられており、「仲間たちと力を合わせることで、より大きなパワーが生まれる」という同曲のメッセージは、麦わら海賊団の物語、そしてV6自身の物語とも重なり合うようで、とても感動的に響く。
2020年からは、先日、第63回日本レコード大賞の大賞に輝いたDa-iCEが手掛けた「DREAMIN’ ON」がオープニング曲としてオンエアされていた。作詞を担当したのはボーカルの花村想太で、彼は「20年以上ずっと愛してやまない『ONE PIECE』の主題歌を歌えるのは本当に幸せで感無量です。生まれてはじめて『週刊少年ジャンプ』が涙で濡れたのも『ONE PIECE』でした」と『ONE PIECE』への熱い想いを語っている。〈無限大の地図広げ 果てしないあの場所へ 踏み出せ 勇気の一歩〉というサビの一節は、初代主題歌「ウィーアー!」の〈ありったけの夢をかき集め 捜し物を探しに行くのさ〉という一節にも重なる名フレーズだと思う。そして、少年時代から漫画やアニメに触れていたかつての読者が、成長してアーティストとなった今、『ONE PIECE』の主題歌を手掛けるというDa-iCEの物語にも、とても大きな「夢」を感じる。