WOWOW開局30周年記念オリジナル長編アニメ『永遠の831』インタビュー

WOWOWオリジナルアニメ『永遠の831』 カノエラナとangelaが語る、作品の魅力と楽曲に込めた思い

『永遠の831』を完結させるには、夏を終わらせる曲でなければならない

angela

ーーangelaのお二人は、「キンギョバチ」を聴いてどんな印象を持ちましたか?

atsuko:すごくエモかったです(笑)!

カノエラナ:(笑)。

atsuko:今ご本人がおっしゃっていたように、攻撃的な部分を詰め込んだというお話とか、歌詞と曲が同時に出て来ると聞いて、すごくいいなと思いました。

カノエラナ:ありがとうございます。

atsuko:我々もたまにそういう風にできる曲がありますけど、そういう曲はやっぱり強いですよね。言葉がもともと持っている抑揚とメロディラインが合った時の強さがあって、言葉とリズムが合った時の強さも感じました。言葉や感情の表現に重点を置いて作っていらっしゃるということが、すごく伝わる楽曲だと思います。

KATSU:曲と言葉と節が一緒に出てくる。つまり最初に出てくるインスピレーションを形にしているということなので、クリエーターとしてはすごくいいやり方ですよね。

ーー個人的には、最後にパリーンと鳴る音がいいと思いました。ガラスの金魚鉢が割れる音なのかなと。

カノエラナ:すごく格好いいですよね。実は、あれは私からのアイデアではなく、編曲の高橋亮人さんが入れてくださった音なんです。世界が急に目覚める瞬間の音というか、壊れたのか、それとも進んだ一歩で割れたのか。すごく想像がかき立てられる音だなと思います。

KATSU:あの音は、実際に何かを割った音を録ったんですか?

カノエラナ:そこまでは詳しく分かりませんけど、おそらく高橋さんが何かを割ったんじゃないかと。

ーー歌詞もすごくこだわったと思いますが、カノエラナさんの中ではどんなこだわりがありましたか?

カノエラナ:たくさん言葉遊びを入れています。物語に出てくる言葉を暗示していたり、登場人物たちの名前にある共通点を入れたり。あとは、この物語はすべて縁とか繋がりでできているところがあると思ったので、「縁」という同じ漢字だけど「えん」「えにし」などいろいろな読ませ方をしていたり。すごく細かいところまでこだわりました。ぜひフルで聴いて、答え合わせをしていただけたら嬉しいです。

ーーそしてangelaさんが担当された主題歌「ひとひらの未来」は、いつもとは違った浮遊感が感じられる楽曲だなと思いました。

atsuko:今回オファーをいただいた時に、ざっくりとしたリクエストがあったんです。「速すぎず遅すぎず、明るすぎず暗すぎず」と。

カノエラナ:私の時もそうでした。あと、攻撃的な部分や皮肉っぽい表現があってもいいと言われました。

KATSU:うちは、そこまではなかったよね?

atsuko:攻撃性がないバージョンを求められたんだと思う。私たちの場合は内容よりも、曲としての雰囲気を求められていて、あとはシナリオを読んでご自由にという感じでした。

ーーサビのメロディから和テイストを感じたのですが、そこは意識されたのですか?

KATSU:和というよりも、春のイメージです。『永遠の831』の季節は夏なので、エンドロールで流れる主題歌として物語を完結させるためには、夏を終わらせる曲でなければならないというのが最初に浮かんだテーマでした。歌詞にも〈舞い散る桜〉と出てくるんですけど、まずは季節を変えることを第一前提に曲を作ろうと思って。

ーー和楽器の琴のような音も入っていたと思うんですけど。

KATSU:実は、あれは琴ではなく、揚琴という中国の楽器で、弦を叩いて演奏するんです。インドや東南アジアなどのオリエンタルな楽器をいくつも使って、日本の春を表現しています。だからフレーズは日本っぽいんですけど、使っている楽器は全然日本じゃないんです。こういう曲でいかにもの和楽器を使ってしまうと、その音だけ悪目立ちしてしまうから。

atsuko:春の表現というのもそうなんですけど、私が脚本を読んだ印象として大きかったのは、主人公のモヤモヤ感なんです。自分が何者なのか、どこから来てどこに行くのか、どこに行けばいいのか。そして特殊な能力を持っていることによって、これを何に使えばいいのか、いつからこれを持っていたのか、自分以外に使える人がいるのか。とにかくいろんな不安がある中で生きている印象があって。曲の最初はそういうモヤモヤした感情の中に生きていることを表現していて、曲が進むにつれて場面が変わって「ここから一歩を踏み出してみよう」という気持ちになり、そこからはモヤが晴れたサウンド感になっていきます。

KATSU:スズシロウは新聞配達員をやっているので、朝靄の中で一生懸命自転車を漕いで新聞を配っているとどんどん空が明るくなっていく、そういう“青さ”のある空気感は絶対に表現したいと思いました。それがサビに入ると季節が変わる。念のためスタッフを介して「サビで春になるんですけど、夏にしますか?」と、監督に確認したんですけど、「季節が変わることで物語が完結できるので、春のままでいってください」とおっしゃってくださって。「僕もまさしくそう思ったんです!」という感じでした。

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