ずっと真夜中でいいのに。絶え間なくもたらす斬新な驚き 2022年も目が離せない、活発な最新動向に注目

 ずっと真夜中でいいのに。が4thミニアルバム『伸び仕草懲りて暇乞い』を2月16日にリリースする。フィジカルリリースこそ昨年の2ndフルアルバム『ぐされ』以来約1年ぶりとなるが、その間にもずとまよは精力的に活動していた。例えば、昨年4月には映画『キャラクター』の主題歌「Character」に“ACAね(ずっと真夜中でいいのに。)× Rin音 Prod by Yaffle”として参加したことを発表。5月に配信リリースされた同曲はACAねにとって初のコラボ曲で、Yaffleによる強烈なビートの上で、Rin音のアグレッシブなラップと対比を描くように歌うACAねのボーカルが新鮮だった一方、そのメロディラインや歌詞のワードチョイスからは確かにACAねらしさが感じられた。

ACAね(ずっと真夜中でいいのに。) × Rin音 Prod by Yaffle 『Character』MV

 5月には幕張メッセ・イベントホールで2日間×各日2公演=計4公演のワンマンライブ『CLEANING LABO「温れ落ち度(ヌクレオチド)」』を開催。サイバーパンク的な世界観の大がかりなステージセットや、バンドセットにOpen Reel Ensemble、弦楽カルテット、津軽三味線を加えた編成によるサウンドが印象的で、曲ごとに声のニュアンスを変えながらも、どんな時もブレず、正確にピッチを射貫いてみせるACAねのボーカルに改めて驚かされた公演でもあった。最終公演の模様は『LIVE Blu-ray CLEANING LABO「温れ落ち度」』として昨年9月にパッケージ化されているため、ぜひ今からでもチェックしてみてほしい。

【期間限定】ずっと真夜中でいいのに。『お勉強しといてよ』(from LIVE Blu-ray CLEANING LABO「温れ落ち度」) ZUTOMAYO - STUDY ME

 その『CLEANING LABO「温れ落ち度(ヌクレオチド)」』でクライマックスに演奏された「あいつら全員同窓会」が配信リリースされたのが6月のことだった。押韻を多用したアップリフティングなメロディがストリングスとともに展開していくアッパーチューンは、ポップソングとしての強度も抜群。SpotifyのTVCMソングとしてオンエアされ、ファン以外の人にも広く届けられたことも相まって、新たな代表曲がまた1つ生まれたような手応えがあった。また、いつになく強いメッセージが刻まれた歌詞にドキッとしたリスナーも少なくなかったのではないだろうか。嘘か本当かわからない他人の噂ばかりを肴にする顔なき人々を〈どうでもいいから置いてった〉と切り離す軽やかさが痛快だった。

ずっと真夜中でいいのに。『あいつら全員同窓会』MV (ZUTOMAYO - Inside Joke)

 同じく6月には、『呪術廻戦』『進撃の巨人 The Final Season』『チェンソーマン』などを手掛けるアニメーションスタジオ・MAPPAの10周年記念ムービーに「ばかじゃないのに」が起用されたことも話題になった。その後7月に配信リリースされた同曲は、別れを想起させる切ない曲。MVには、スイス在住のベトナム人イラストレーター・TV♡CHANYを起用している。以前、TV♡CHANYがずとまよのファンアートをTwitterに投稿していたことが参加のきっかけとなったらしく、新鋭クリエイター含め、面白いと思ったものは積極的に取り入れていくずとまよの姿勢、アンテナ感度の高さが光っている。そのMVで展開される物語、赤い糸やハートマークのモチーフが登場するポップな世界観も相まって、この曲では恋の別れが歌われているように感じられるが、一方、死別という永遠の別れが歌われているようにも解釈できる。“言えなかった後悔”を噛み締めるようなACAねの歌唱が印象深く、曲を聴く前と後で大きく色合いを変える「ばかじゃないのに」というタイトルも秀逸だった。

 9月の『LIVE Blu-ray CLEANING LABO「温れ落ち度」』リリースを挟み、11月からは自身初の全国ホールツアー『果羅火羅武〜TOUR』がスタート。17都市21公演を回るずとまよ史上最大規模のツアーは、新型コロナウイルス感染症対策を万全に行った上で現在も開催中で、全箇所ソールドアウトの盛況ぶりを見せている。

ずっと真夜中でいいのに。『ばかじゃないのに』MV (ZUTOMAYO - Stay Foolish)

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