特集「演じること、歌うこと」

ボイストレーナーに聞く、俳優ならではの歌の魅力 菅田将暉、松下洸平らに見出す歌詞を重視した表現

 このように、俳優の歌は技術的な特徴においてもアーティストとは異なるポイントがあることがわかる。ミニー・P氏は以前のインタビュー(※2)で、「昨今のJ-POPは笑顔で歌うスタイルが少ない」と言及していたが、俳優にはそれとは異なる傾向が見られるという。

「俳優は表現者として、無表情で歌うというスタイルではなく、笑顔であったり、憤りであったり、表情をしっかりと歌に反映していると感じます。これもアーティストの歌の世界とは違った部分です。上白石萌音さんや松下洸平さんの歌は、素直な感情が溢れ出ているところが印象的ですね。また、橋本愛さんの『木綿のハンカチーフ』を聴いた時は手嶌葵さんの声のようなテイストの懐かしさがありながら、彼女独自のピュアさがある歌声がとても素敵でした」

松下洸平 - あなた (Music Video)
橋本愛 - 木綿のハンカチーフ / THE FIRST TAKE

 このような特徴を持つ「俳優の歌」は、J-POPリスナーからどのように受け入れられているだろうか。

「個人的にも感じることですが、サブスクメインで曲を聴いていると声のみに集中するため、俳優の方のストレートな歌い方は特に印象に残ります。感情が豊かに乗っているため、おそらく一般的なリスナーにも伝わりやすいのではないでしょうか。また、最近人気のJ-POP楽曲は譜割りが細かく、音程の乱高下も激しい曲が多いですが、俳優の皆さんの歌う楽曲は聴きやすい構造になっていることが多いので、若いリスナーの耳にとっても新鮮に感じられると思います」

(※1)https://www.youtube.com/channel/UCUorLF_O-dGvXH4aNppO20Q
(※2)https://realsound.jp/2021/09/post-856910_2.html

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