あの、不思議な言動はテレビ向き? バラエティで輝く予定調和を崩すキャラクター

 “あのちゃん”というキャラが確立しているからこそ、彼女が芸人に対して「つまらない」と正直に言っても、リアクションがなくても、それに戸惑う芸人の空気感が笑えてしまう。もちろん、あのが笑顔になれば見ている視聴者も嬉しくなり、どちらに転んでもバラエティが成立するのだ。芸人にとっては、最強のボケキャラとしてイジリやすいという側面もあるが、逆に飲まれる可能性も大きいので要注意かもしれない。以前、歯についてのトークで意気投合したくっきー!だが、虫歯の治療動画好きというあのの話に付いていけなくなったほど、特殊なセンスを持っている。

 そんなあのを面白く活かしたのが、『水曜日のダウンタウン』での千原ジュニアが提唱した「『ラヴィット!』の女性ゲストを大喜利芸人軍団が遠隔操作すればレギュラーメンバーより笑い取れる説」。あのが実戦し、七味唐辛子に含まれるもののクイズで「ほぐした赤LARK」や「矢田(亜希子)の削り歯茎」などをポーカーフェイスで答え、スタジオや視聴者を騒然とさせたことは記憶に新しい。

 あのの絶妙なキャラクターは、予定調和や平和な空気を崩しても許される存在として機能している。『あのちゃんねる』の出川哲朗があのにリアクション芸を教える回では、ケーキ爆破ドッキリで爆破の後にケーキを殴り出川を睨むという斜め上をいくリアクションを見せ、出川に「長年バラエティやってきけど初めてのリアクション」と言わしめた。実際はただただ正直な人なのかもしれないが、一見しただけで「この子はなんだろう?」と思わせるインパクトは、今後のバラエティでも爪痕を残すことになるのではないだろうか。

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