石崎ひゅーいが明かす、ベスト盤から5年ぶりアルバム『ダイヤモンド』まで 音楽との向き合い方に変化も

ここから先はとにかく掘り続ける作業

――『ダイヤモンド』は石崎さんにとって5年ぶりのオリジナルフルアルバムですが、とはいえリリース自体は継続的にしていたし、楽曲提供も行なっていましたよね。常に締切がある状況のなかで、“締切を守る”と“新しいことに挑戦する”を両立させるのは難しくありませんでしたか? 

石崎:ああ……。僕の場合、その辺りは結構楽観的というか。未完成なものにも素晴らしさってあるじゃないですか。完璧には作れなくても、少し歪でも気持ちのこもったものはあるので、「そういうものであればいいや」という感じで制作を始めるようにしています。

――仮に自分の中の理想を完璧に体現できた状態を100だとして、全くそうではない状態を0だとします。本来は100を目指しているけど、10や30、70の作品になったとしても、それを見せることも厭わないという感じですか?

石崎:そうですね。多分、音楽にはとことん向き合うけど、“こうでなければ”というのを厳密には決めていないんだと思います。もちろん目標を持って100以上を目指すのは素晴らしいことだと思います。だけど、普通に考えたら、パンと出てきた表現は全ていいに決まっている。変な話、本当は生まれた瞬間すべてが100であるはずなんですよね。だからこそこのアルバムには昔作った曲も入れているし、夢から作った曲も入れているし。

――どの曲ですか?

石崎:「Oh My エンジェル!」はデビューして間もない頃に作った曲なんですよ。歌詞がちょっとぶっ飛んでいるので……多分ファンの方の中には「これは昔の曲だな」と気づく人もいるんじゃないかな? 人に伝えたいという気持ちよりも“これが芸術だ!”というエゴの方が強かった時期で、言葉の並べ方も“こっちの方が面白い”という感覚を重視していたので、自分でもよく分からないものが出来上がった感じがあって。それが素敵だなと思って収録しました。

――夢から作った曲というのは?

石崎:「ジュノ」です。起きた瞬間、夢で見た映像を何となく覚えているうちにバーッと歌詞を書いて。

――すごい。そんなことができちゃうんですね。

石崎:4年に1回くらいですけどね。僕は夢をあんまり見ないタイプなんですけど、この曲を作った当時、めちゃくちゃうるさい家に住んでいたんですよ。家の近くを常にトラックが通っていて、「ガシャン!」みたいな音が聞こえてくるから、夜中びっくりして起きるみたいな生活をしていて。

――歌詞の字数の多さや、ちょっとガチャガチャしたサウンド感など、作った時の環境が曲にも出ているように感じます。

石崎:確かに(笑)。手垢が全くついていない、丸裸の赤ん坊のような表現で好きだなと完成した時に思いました。

――アルバムのラストを飾る「スワンソング」についても聞かせてください。前曲の「アヤメ」然り、今は“バラードはシンプルに”というモードなのでしょうか?

石崎:そうですね。今はとにかくシンプルなものを心がけています。というのも、「聴いている人に、僕の歌の中に入ってきてもらいたい」と思うようになったんですよ。だから僕にとっては玄関を掃除しておく感覚というか。人が入り込める余白を作ってあげるような意識でどんどんシンプルになってきています。この曲は2020年の終わりに作ったんですけど、それが最初に話した「この生活に慣れてしまったら怖いな」と感じていた時期で。僕はやっぱり人の温かさが好きだし、そういうものを捉えて歌にしていきたい。そういう想いがめちゃくちゃ出ている曲なのかなと思っています。

――そうなると聴いた人にどう受け取ってもらえるか、どういう表情で聴いてもらえるのかが楽しみですね。

石崎:はい、楽しみです。自分で言うのもなんですけど、いい曲だなと思っていて。

――それは間違いないです。こうして振り返ると、音楽に前のめりに取り組む石崎さんの姿が見えてくるアルバムであり、人間臭さも感じられるアルバムになっていますね。ご自身の手応えはどうでしょう?

石崎:そう言っていただけてよかった。僕は今考えていることに近いものができたと思っています。でも、さらに欲が出ました。全部出来上がったあと、「次はもっとこういうものを作ってみよう」「次のアルバムではこういう歌詞のアプローチをした曲を入れてみよう」と、いろいろ浮かんできて。

――意欲に溢れているところなんですね。いったい何が今の石崎さんを駆り立てているんだと思いますか? 音楽に対する好奇心なのか、「新しいことをやれて楽しい!」という感情なのか、「ずっと同じところにいてはいけない」という危機感なのか。

石崎:今言っていただいたこと全部ですね。危機感もあるし、探究心もあるし、欲もある。僕、昔よりも悔しさを感じることが多くなったんですよ。ライブ一つにしても「くっそ~!」と思うことが増えて。

――キャリアや年齢を重ねるほど、悔しくなるような経験も減っていきそうですが。

石崎:悔しさも、欲も、緊張も、むしろ増えていっていますね。だからこの歳になってどんどん余裕がなくなってきてる(笑)。やっぱり僕は、自分に対して“完成した”みたいなことを全く思えないので、完成が近づいたらぶっ壊すだろうし、それの繰り返しなんじゃないかと。だからここから先は、音楽に対しても、歌詞を書くことに対しても、とにかく掘り続ける作業というか。そういうことをずっとやっていくんじゃないかと思います。

■リリース情報
石崎ひゅーい
4thフルアルバム『ダイヤモンド』
2021年12月22日(水)リリース
CD予約URL:https://huwie.lnk.to/um9wuA
※2021年10月30日(土)19:00より順次カートアップ予定。
〈初回生産限定盤〉
仕様:CD+BD/価格:¥4,800(税込)
〈通常盤〉
仕様:CDのみ/価格:¥3,300(税込)
〈収録内容〉
収録曲※初回&通常共通
・Namida
・パレード
・Flowers
・アヤメ
・ブラックスター
・スワンソング
曲順不同、他計11曲収録予定

●Blu-ray※初回生産限定盤のみ
石崎ひゅーい Tour 2021『for the BLACKSTAR』-Acoustic Set-
2021/9/5 浅草花劇場
M1 ブラックスター
M2 パレード
M3 第三惑星交響曲
M4 ひまわり畑の夜
M5 おっぱい
M6 ダメ人間
M7 マシュマロパイ・サンドウィッチヘブン
M8 SEXY
M9 さよならエレジー
M10 夜間飛行
M11 ナイトミルク
M12 花瓶の花
M13 アヤメ
M14 世界の終わりのラブソング

LIVE情報:https://www.ishizakihuwie.com/live/

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