「Red Breeze」インタビュー

水樹奈々、全力で走り続けた20年 “休息”の大切さなどコロナ禍では気づきも

監督からのリクエストは「女豹のように」

水樹奈々「Red Breeze」Special Performance Clip

ーーシングルは自分で作詞されることが多い水樹さんですが、今回藤林さんに発注されたのは、上松さんと同様にハマる感じがしたからですか?

水樹:直感的に、これは藤林さんに書いていただきたいと思いました。同じ熱いロックの「DAYBREAKERS」(13thアルバム『CANNONBALL RUNNING』収録)の詞も素晴らしくて、私にはない言葉の当てはめ方や言い回しが、この曲にもフィットする気がしたんです。

ーー実際に今回も、自分からは出ないと思ったフレーズはありました?

水樹:色々ありますが、特に感じるのはサビの頭ですね。〈真昼の太陽が翳る時に誰もが未来恐れ〉というフレーズ! 侵食と日食のイメージを重ねたフレーズで、素晴らしい発想だなと思います。私だったら「Red Breeze」というフレーズやタイトルも、出なかったと思います。

ーーボーカルの話に戻ると、さっき出たDメロは聴かせどころにもなっていて。ファルセットの入れ方が印象的です。

水樹:ここは夢なのか現実なのかわからない、モヤがかかったようなイメージ。地声で出る音もあえてファルセットにして、優雅に包み込むように歌いたかったんです。天からの声なのか、もう1人の自分が頭の中でささやいているのか……という感じで。アレンジャーの藤永(龍太郎)さんがからもボイスに加工を入れたいというお話を聞いて、「ファルセットだと面白くなりそう」と方向性を決めました。

ーー声へのエフェクトはBメロの頭でもかけていますね。

水樹:心の中の葛藤を表現したパートです。デモテープの時から「ここは加工するイメージです」という意向があって。藤林さんもそれを踏まえて、詞を書いてくださったので、より印象的になったと思います。

ーー本当に緻密かつ表情豊かな曲になりました。

水樹:これだけ激しい曲だからこそ、ただ激しいだけにはしたくなくて。自分の中の闘いを描いているので、いろいろな顔を見せていけたらと。Special Performance Clip でも、周りは激しく曲を奏でてアグレッシブに動く中で、私は台風の目にいるように優雅に歌いました。熱いものに熱さで応えるのでなく、受け流したり、抱き締めたり、支えたり。直球で返すときもありますけど、いろいろな乗り越え方を冷静に判断しながら、自分の軸は絶対にブレず、まっすぐに立っている。そんなパフォーマンスを目指しました。先日リリースした「Get up! Shout!」とは、かなり違うアプローチになったと思います。

ーーどちらもバンドスタイルのCLIPではありつつ。

水樹:「Get up! Shout!」はまさにシャウトして、フードを脱ぎ捨てたり、髪を振り乱し腕を広げるようなオーバーアクションも多くて。今回はフツフツと胸に湧き上がる想いはあっても、動きはミニマムに。体でバーンと表現するのでなく、しなやかに余裕を持って歌い上げる。女神様のような気持ちというか(笑)、自分を俯瞰で見るような……気持ちは燃え上がりつつもクールで艶っぽいパフォーマンスになりました。

ーービジュアルは『COUNTER: SIDE』で水樹さんが演じたヤナギ・ミナをイメージしているんですか?

水樹:ジャケット撮影の際、デザイナーさんから「モノトーンで写真を撮りたい」という話があったんです。それなら衣装も色味を付けるより、白黒でエッジの効いたデザインが映えるということで、決まったものに合う髪型を考えたら、ロングのポニーテールだと。偶然ヤナギ・ミナとも重なりました。キャラクターからのイメージではなくて、実は衣装からだったんです。

ーーそうだったんですね。自分ではロングのポニーテールは似合うと?

水樹:今回のシチュエーションにはハマったんじゃないかと思います(笑)。私自身ポニーテールは大好きで、ファンの方が好きな髪形投票でもいつも上位に入るので、喜んでいただけたら嬉しいです! ただ、頭皮が大変でした(笑)。ロングのエクステも付けていて、高い位置で縛り上げているので、頭がギューッとなって、目も釣り目になってしまって(笑)。長時間撮影していたら本当に大変で、終わったあと、お風呂でヘッドスパのマシンで解しまくりました(笑)。

ーーSpecial Performance Clip では目元のアップもありました。

水樹:アイメイクはちょっと派手にグリッターで囲って、ラインストーンも付けて、妖艶な雰囲気に仕上げています。

ーー妖艶さを見せるのは、もうお手のものですか?

水樹:いえいえいえ(笑)。いつも研究しています。実は監督から「女豹のような感じで」とリクエストされて(笑)。今回は激しい曲を激しくパフォーマンスしないのが難しいところでしたけど、自分の体を抑することで生まれるもどかしさや、制限されたからこそ爆発するものを見せられたらと思っていました。それが、曲とも歌詞の世界ともフィットするのかなと。

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