AKB48、新たな“組閣“は前向きな変化の兆し? 過去の事例から考える今後の行方
12月8日、AKB48が『AKB48劇場16周年特別記念公演』を行った。そのなかで発表されたのが、実に4年ぶりとなる新チームの“組閣”だ。組閣とは、広く見ればチーム替えではあるが、個人やグループ史において見つめるとまた別の意味を持つ。では、具体的にAKB48にとって組閣とは、どのような狙いがあって行われるのだろうか。
今回の組閣で特に大きな目玉となったのが、各チームの新キャプテンの就任だ。向井地美音(チームA)、田口愛佳(チームK)、浅井七海(チームB)、倉野尾成美(チーム4)がそれぞれ新たにキャプテンを務め、合わせてチーム8のメンバーが他1つ別チームと兼任することもアナウンスされている。
芸能ライターでアイドルカルチャーにも造詣が深い田辺ユウキ氏は、今回の組閣について以下のように語る。
「約2年の新型コロナウイルスの影響で社会全体が閉塞感に包まれているなか、今回の組閣は、そういったムードを打ち破って新たなスタートを切ろうとしていると思います。これまで組閣は、グループのマンネリ打破とともに、メンバーに混乱も生じさせていました。しかし今回の組閣は100パーセント、ポジティブ。前向きな印象しか受けません。世界とともに、新型コロナと闘いながらも新たな出発を切ろうとしているのではないでしょうか。今まででもっとも明るい組閣だと思います」
これまでAKB48にとって組閣とは、エンタメシーン全体を巻き込むようなアトラクション的な印象が強かった。過去にはAKB48の姉妹グループ、さらには乃木坂46も巻き込んだ“大組閣”も行われ、大きな衝撃をもたらした。
AKB48を軸にした組閣でまず話題に上がるのが、2009年に行われた最初の組閣だ。『AKB104選抜メンバー組閣祭り』と題し、日本武道館にて開催された同イベントについて田辺氏は、「高橋みなみがショックのあまり『大人はいっつもウソをつく』と感情的に語った姿が忘れられません。メンバーも初めてのことですから動揺は隠せず、中でも佐藤由加理、浦野一美はSDN48への完全移籍という、当時としてはショッキングな出来事がありました」と当時を振り返る。初めてキャプテン制度が導入された最初の組閣では、それまでファンやメンバーが築き上げてきたものが、一度全てリセットされるような混乱が生まれたのだった。
また、田辺氏は2012年に開催された、AKB48にとって初の東京ドーム単独公演『AKB48 in TOKYO DOME ~1830mの夢~』で発表された組閣についても、「なにより、人気メンバーだった宮澤佐江のSNH48移籍、高城亜樹のJKT48移籍は衝撃的でした。誰もが予想できなかったことですし、現実を受け入れられないファンもいたのではないでしょうか。その衝撃は、2014年の大組閣でも佐藤すみれのSKE48への移籍、藤江れいなのNMB48への移籍でも同様です」と、AKB48として徐々に知名度を上げていたメンバーらを、海外含む姉妹グループへ移すという判断に当時多くの人々が驚きを隠せなかった様子を伝える。