『Replay of IRORI Records 2021』
Official髭男dism、Kroi、スカート……IRORI Recordsの2021年を総まとめ オリジナリティの探求や挑戦が結実した1年
■Homecomings
メンバー全員が上京 『Moving Days』で開かれたバンドの新たな音像
京都を活動の拠点とし、結成以来9年の歳月の中で日本のインディーズバンドを代表する作品性を誇ってきたHomecomingsが<IRORI Records>からメジャーデビューしたことは大きな驚きだった。だが、バンドメンバー全員が上京=引っ越しするという現実を、その前後も含めて1曲1曲に落とし込んでいったアルバム『Moving Days』を聴くと、今回のデビューが至極当然のことであったように感じられる。
福富優樹(Gt)が書く日本語詞もさらに無二のものとなり、曲構成やアレンジにキャロル・キングやレックス・オレンジ・カウンティなどポップス寄りのソウル感を取り入れていたり、バンドが試行してきたことが自然と多くのリスナーに届く開かれた音像になった印象なのだ。イベントやフェスへの出演もこのバンドならではの必然性を感じるものが多く、6月には札幌芸術の森で開催された『OTO TO TABI in GREEN』、11月には京都アニメーション作品『リズと青い鳥』に「Songbirds」を提供した縁での『KYOANI MUSIC FESTIVAL -感動を未来へ-』、常連と言える『ボロフェスタ2021 ~20th annivaersary~』などに出演。ワンマンライブもレコ発の開催、そしてクリスマスライブ企画と意欲的だ。
■SOMETIME’S
ストリーミングや有線でも存在感 楽曲評価の高さで大人リスナーの心もキャッチ
オーセンティックなソウルのメロディの良さとJ-POPのキャッチーさを併せ持つ二人組、SOMETIME’Sも1年で大きくジャンプアップした存在だ。ボーカルのSOTAとギターで歌詞も手掛けるTAKKIはこのユニット以前にすでにキャリアを積み、2017年に合流。今年は5月にこれまでの代表曲に新曲を加えたEP『Slow Dance EP』をリリース、タワーレコードの「タワレコメン」とHMVの「エイチオシ」両方に決定したり、ストリーミングサービス各社で収録曲がピックアップされ、楽曲評価の高いアーティストとしてEPの表題曲「Slow Dance」の再生回数も急上昇。
そして8月リリースの1stフルアルバム『CIRCLE & CIRCUS』で<IRORI Records>からメジャーデビューを果たした。グルーヴィーかつ爽快なモダンソウルやSOMETIME’S流ヒップホップなど音楽的なレンジの広さを示す名刺的な作品だが、アルバムではむしろ異色なバラード「KAGERO」が有線のリクエストチャートで上位をマークするなど、楽曲の強度を証明。幅広い年齢層、特に大人のリスナーに届く貴重なユニットだ。
音楽的探求をポップミュージックの新しい体験に変換できる地力のあるアーティストが着実に増えてきた<IRORI Records>。2022年も引き続き動向に注目したい。
■プレイリスト
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M1.Cry Baby / Official髭男dism
M2.Balmy Life / Kroi
M3.ODDTAX / スカートとPUNPEE
M4.Slow Dance / SOMETIME’S
M5.アポトーシス / Official髭男dism
M6.Herge / Homecomings
M7.海岸線再訪 / スカート
M8.Juden / Kroi
M9.Universe / Official髭男dism
M10.Kagero / SOMETIME’S
M11.Here / Homecomings
M12.背を撃つ風 / スカート
M13.ペンディング・マシーン / Official髭男dism
M14.You and I / SOMETIME’S
M15.Watagumo / Kroi
M16.Continue / Homecomings