『第六感』インタビュー
Reol、柔軟な変化で生まれた“人と交わっていく音楽” 「先人たちがしてくれたことを自分がやっていくフェーズ」
新たなクリエイター KOTONOHOUSE & Geekboyとの制作
ーー今回はGigaさん以外のクリエイターが2名(KOTONOHOUSE、Geekboy)参加されていますね。
Reol:『金字塔』からちょこちょこ他のトラックメイカーの方とやってきてはいたので、今回もやっぱり外の風は入れたいなと思って。私が日頃から好きで聴いている曲の中から、「この人の作る曲はいいな」と強く思った2人にお声がけさせてもらった感じです。好きな音を作る方でも自分の作品カラーにはハモらない場合も結構あるんですけど、この2人の音にはシンパシーを感じた部分が多かった。かつ、Gigaとは違った方向性の楽曲を作れるだろうなっていう確信もあったので。
ーー「白夜」はKOTONOHOUSEさんがアレンジャーとして参加しています。
Reol:ことのはくん(KOTONOHOUSE)はアイドル界隈でも活躍しているし、フューチャーベースの第一人者みたいなところがあって。かわいい音も、アンニュイな雰囲気も作れる方ですね。「白夜」は『白夜極光』(スマホアプリゲーム)のテーマソングとして書き下ろしましたけど、先方からのオーダーだった“壮大なミドルバラード”という雰囲気は意外と今までにやってこなかったタイプなので、楽しかったです。BPM90くらいで作り始めました。
ーーテンポがゆっくりな分、メロの良さがグッと際立っていますよね。
Reol:ダンスミュージックをやっている方からすると、テンポを落とすって結構怖いことでもあるんですよ。本当にメロディが美しくないと間延びして聴こえてしまうから難しくて。なので、自分から「やっぱりこちらのメロにしてください!」って3回くらい提案し直しました。
ーーアレンジはどんなイメージで進めたんですか?
Reol:デモの段階で私がピアノを入れていたんですけど、そこにことのはくんが装飾音符をさらに足してくれた感じで。あとはゲームのテーマソングということで、ドラムをちょっと打ち込みっぽいものにした感じかな。ストリングスはことのはくんのアイデアで入れることにしましたね。結構細かくディスカッションしながら作っていきました。
ーーそして「ミュータント」「Nd60」「Boy」の3曲にはGeekboyさんが参加されています。
Reol:Geekに関しては、SF9「Now or Never」の音がめちゃめちゃよかったので、今回声をかけさせてもらいました。Geekにはまず1分くらいのトラックをもらうんですよ。でも、それは全然J-POPを意識したビートじゃないし、構成も日本人にはわかりにくいものなんですよね。なので、それを私が組み直して2分尺くらいにしたものを投げ返して、そこにまたGeekがアイデアを乗せてくれるっていう、そんな流れで基本は作っていきました。Geekはドロップのつもりだったところを私がサビにしたから、改めてドロップを足してもらうこともありましたけど、そんなに難しさはなかったです。
ーー「ミュータント」はゆったりとフロウするメロディが気持ちいいですね。
Reol:こういうちょっとチルっぽい曲は今までやってこなかったんですよね。これはGeekの原案が超よかったんで、そこから曲調が決まった感じです。ガツガツとラップするのではなく、ちょっとポエトリーっぽくして情緒を持たせた感じですね。
ーーかと思えば「Nd60」ではガッツリ系のラップを披露されていて。
Reol:この曲はヒップホップ的な雰囲気を出しつつ、同時にGeekは韓国のアーティストの楽曲もたくさん手掛けているので、K-POPっぽさも意識して作っていった感じです。
ーーちなみにタイトルの「Nd60」というのは?
Reol:これは、なんでもくっついちゃうっていう、世界一強力なネオジム磁石の化学記号なんですよ。それで、人間にとってのネオジム磁石みたいな存在って何かなって考えたときに、私はそれが怠惰とか色欲を含む、七つの大罪だと思ったんですよね。ダメだと思っていても、どうしても惹かれてしまう。意志が弱いと負けてしまう、みたいな。そういったことをライトな感じで歌詞にして、ポップな聴き心地にしました。
「かわいい声がせっかく出るなら使っちゃえばいい」
ーー「Boy」はラブソング的なニュアンスを感じました。
Reol:どう受け取ってもらうかは聴き手の自由なんですけど、私のイメージとしては近しくなった人間との惜別みたいなものを歌った曲。それは恋愛でも友情でもいいし、親離れ子離れってことであってもいいと思います。テーマがあまり明るいものではないので、曲の雰囲気的には明るいアプローチをしようと思ってシンガロングパートを入れましたね。そこではGeekにも歌ってもらってます。そのパートに合わせて構成をいじったりもしたし、アウトロのシンセメロは何度もキャッチボールしながら音色を決めていきました。
ーーこの曲はライブで一緒に歌いたいですよね。
Reol:今はご時世的に難しいと思いますけど、数年後とかにみんなで歌えたらいいですよね。そんな未来を思いながら楽しく聴いてもらえたら。で、歌詞をよく見たら「めっちゃ別れの曲じゃん!」くらいな温度感がちょうどいいかなって(笑)。
ーー様々なタイプの全7曲。サウンドに合わせてReolさんの声色も変幻自在です。ボーカルに関して何かトライできたと感じている曲もありますか?
Reol:「ミュータント」では違った声色を行き来して歌えたと思います。パートによって、若干ハスキーっぽい男性的なアプローチがあったり、女性的にわざとかわいい声色を出しているところがあったりするので、一人二役やっているみたいな気持ちでレコーディングしましたね。昔はかわいい声で歌うのは絶対にイヤだったから、隙あらば巻き舌にするみたいな感じだったけど(笑)、今はそこに対する恥じらいもなくなってきたような気がします。アーティスト写真にしてもそうですけど、Reolのいろんな面を見せていってもいいのかなって今は思っていますね。
ーー表情の多彩さは大きな武器になりますからね。
Reol:そうそう。かわいい声が出ないなら仕方ないけど、せっかく出るなら使っちゃえばいいのかなって。自分の声のジェンダー感をあえて出すことも、曲によってはハマるはずですからね。そこは柔軟にやっていきたいです。
ーー本作のリリースを経て、2022年に向けたビジョンも定まってきていますか?
Reol:コロナ禍の出口が少し見えてきた感じもあるので、ライブはやっぱりやりたいですよね。このアルバムの楽曲たちをもっと育てたい気持ちが強いです。それと同時に、新たな作品もコンスタントにお届けして、どんどん攻めていきたい。作品をひとつ作ると「はい、じゃあ次!」みたいな感覚になるんですよ。「1枚リリースしたから、ちょっと休んで」みたいな感じにはあまりならないタイプというか。だからもう次の楽曲を作りたいです。というかもう作ってます(笑)。
■リリース情報
Reol 2nd miniAL『第六感』
2021年12月15日(水)リリース
<商品形態>
●通常盤(CD)¥2,750税込
●初回限定盤A(CD+Blu-ray)¥4,950税込
●初回限定盤B(CD+DVD)¥4,400税込
●ビクターオンラインストア限定盤(CD+Blu-ray+GOODS) ¥7,150税込
※数量限定/購入はこちら:https://victor-store.jp/item/166373
<収録内容>
M1. 第六感 feat.東京ゲゲゲイ
M2. Q?
M3. Ms.CONTROL
M4. 白夜
M5. ミュータント
M6. Nd60
M7. Boy
<DVD/Bluray 収録内容>
・『Reol Installation Concert 2021 音沙汰 at Tokyo』
M1. introduction -沙汰-
M2. un, deux, trois
M3. カルト
M4. 秋映
M5. 1LDK
M6. 真空オールドローズ
M7. ちるちる
M8. ハーメルン
M9. No title
M10. interlude -白夜-
M11. Behind The Night
M12. GRIMOIRE
M13. 染
M14. 失楽園
M15. Q?
M16. 平面鏡
M17. 第六感
・Music Video
M1. 第六感
M2. Q?
M3. 白夜
M4. Boy
・Bonus Movie (GOBUSATA)