NGT48 荻野由佳、グループの希望であり続けた6年半の集大成 「ありがとう」が溢れた卒業コンサートをレポート
荻野がバイトAKBで初めてユニット披露した「ガラスのI LOVE YOU」は、まさに彼女の原点とも言える楽曲であるが、ユニットコーナー終わりにパフォーマンスされた「#好きなんだ」「センチメンタルトレイン」の2曲は、言うまでもなく荻野が2017年、2018年の総選挙で選抜入りを果たしたシングル曲である。2年連続の速報1位ーーその衝撃的な大番狂わせは話題となり、荻野由佳という名前とともにNGT48というグループ名を認知させた。最終結果においても、2017年は第5位、2018年は第4位という好成績を残し、憧れていたAKB48グループのステージに立てている状況に荻野は「私をアイドルにしてくれてありがとう」という名言を残した。
つまり、彼女の6年半の軌跡を振り返った時に同時に見えてくるのはAKB48グループとしての歴史でもある。もちろん、荻野にとって憧れだったAKB48への感謝を表したセットリストでもあるだろう。そして、これまでのAKB48グループの卒業コンサートでは初めてのサプライズもあった。それは、荻野卒業記念ソングとして荻野以外のメンバーが歌唱する「私が一番言いたかったこと」の披露だ。例えば、北原の卒業ソング「私のために」のように、通常であればグループを旅立っていくメンバーに秋元康が歌詞を書くのがこれまでの習わしであったが、今回の「私が一番言いたかったこと」はいわゆる荻野へと贈る曲。〈誰よりあなたが大好きでした〉〈友達以上に大好きでした〉と真っ直ぐな思いを伝える歌詞以上に、メンバーが陰ながら練習していたことが荻野にとっては嬉しいであろう。
セットリストにNGT48の楽曲が少なかったからこそ、よりその存在感、メッセージ性が際立っていたとも捉えられる。北原の卒業後、グループ新体制の中で荻野がセンターを務めた4thシングル曲「世界の人へ」、NGT48にとって初のオリジナル曲であり歌い継ぐべき名曲「Maxとき315号」、そしてラストを飾ったのは「世界はどこまで青空なのか?」。荻野が初めてセンターを張った2ndシングル曲だ。「駆け巡る鳥が希望だ、そんな鳥になれるように」ーーかつて荻野は総選挙のステージで「世界はどこまで青空なのか?」の歌詞を引用し、そうスピーチした。荻野はNGT48を再び朱鷺メッセに連れてくることができた。そのことが荻野が駆け巡る鳥であり、グループにとっての希望であった証だ。
荻野にとっての青空はどこまで続いているのだろうか。これからの足跡を想像した時、それが平坦な道のりではないことは確かだ。けれど、大丈夫。彼女は何があってもへこたれない。
©︎Flora